2024年07月17日( 水 )

排ガスの低減と高燃費を実現「セラミックバー」の正体(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

蒸留プロセスから得たヒントから

エンジン イメージ    原油というのは炭化水素混合物で、いろいろな物質が混ざっているため、ある特定の液体を取り出したい時に「蒸留」という方法が用いられる。たとえば、沸点が50度のAという液体と、沸点が100度のBという液体が、混ざっている混合物があるとしよう。それを加熱して50度になったら、Aは気体となり、その蒸気を集めて液化すると、Aのみを取り出すことができる。

 しかし、原油の場合、炭化水素は分子が大きくなるにつれて、沸点がだんだん高くなるという。それで、原油を「蒸留」すると、分子の小さいものから順々に気体(蒸気)になって飛び出してくるので、その蒸気を冷やすと、いろいろな石油製品が得られるようになる。

 蒸留というのは、温度と圧力を変化させることによって、目的は達成されるが、そこに触媒を加えると、蒸留の効率が上がることが分かった。今回紹介する韓国の製品は、ゼオライトやシリカなど、いろいろな鉱物を配合することによって、触媒の作用で炭化水素の分子を分解し、完全燃焼を目指している。燃料を完全燃焼させることで、燃え残りがすくなくなるので、燃焼室がきれいになり、エンジンの寿命は延びるし、加えて、出力アップと燃費の向上がもたらされるという。

 排ガスは50%~70%低減でき、これは視覚的にもすぐ確認できる。それに10%~15%の燃料費の削減につながるので、燃料費の高騰で四苦八苦しているトラック業界、バス業界、船舶業界などに朗報である。さまざまな研究によって、軽油や重油を熱で分解すれば、ガソリンになることも明らかになっている。これを業界では「クラッキング」というが、クラッキングも始めのうちは熱作用だけで行っていたが、その後触媒を使うことで、ガソリンの質を向上させている。ここからヒントを得て、ガソリンに触媒を入れると、何らかの良い変化が起こるのではないかという仮説に立って、蒸留プロセスですでに利用されているゼオライトを中心に、シリカなど、もっと効果の上がる鉱物を混ぜることで、現在の製品が誕生している。

 製品の原理は、鉱物から発生する7~14㎛の遠赤外線がガソリンに作用すると、ガソリン中の水の分子構造がまず六角形になり、遠赤外線が発生させる波動とともに、炭化水素分子を分解させるという。飲食物が口で消化しやすいようにかみ砕かれるように、燃料の分子が分解されることにより、排ガスの減少や燃費の向上など驚くような効果が発生する。

 対象はトラック、バス、船舶だけでなく、発電機、ボイラーなど、燃料を使っているすべての動力機関に有効だという。この製品は15Lあたり1個を燃料タンクに入れるだけで、寿命は半永久である。自動車と言っても、車種、年式、運転習慣などいろいろな条件があるので、一概にはいえないが、それでも10%以上の燃料費削減は期待できるという。

(了)

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