要人警護には市民の理解が不可欠~統一選こぼれ話5
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統一地方選挙前半戦の福岡県議会議員・福岡市議会議員選挙は9日に投開票が行われた。県議会・市議会ともに、これまでで最も多い女性議員が誕生した。
最大会派の自民党は、県議、市議ともに、女性議員はゼロである。今回当選した女性候補は、県議会では立憲民主党が5人、公明党2人、国民民主党1人、無所属が5人であった。福岡市議会は、立憲民主党が最多の5人、公明党と日本維新の会はそれぞれ2人、共産党、国民民主党、政治団体の市民ネットワーク福岡はそれぞれ1人、無所属は2人。
とくに注目されたのは、これまで自民党の2議席独占となってきた県議選春日市選挙区で、初の女性議員が誕生したことである。福岡市への利便性から子育て世代が多く住む春日市において、今回、立憲民主党公認で初当選した候補は、2人の子どもを育てながら、地元ケーブルテレビのアナウンサーを19年務めた人物だ。
子育てママの目線で、暮らしや子育ての悩みなどを市民に取材していくなか、政治を変えなければならないとの思いをもったという。19年の選挙では無所属で立候補したものの落選。その後、地元春日市を含む福岡5区選出の衆議院議員の公設秘書として、代議士と一緒に地域の公民館などで集会を行い、毎朝、市内各所で辻立ちを行った。今回の当選は候補者も支援者も感無量の思いだっただろう。
ここまでは他社も書く話だが、違う視点のエピソードを紹介したい。
選挙戦最終日の夕刻近く、立憲民主党の泉健太代表が春日市に応援に駆けつけ、激励を行った。記者も取材に駆けつけたが、その際、パトカーが赤色灯をつけて何度も往復していたほか、福岡県警の公安2課や所轄の警護員が、カラーコーンとバーで、聴衆や支援者を一角にまとめさせていた。予定時刻よりやや遅れて泉代表の車が到着。応援演説後、集まった支援者とツーショット写真を撮るなどやり取りしていた。
今回の応援演説では、交差点を挟んで、泉代表や候補者などは航空自衛隊基地側の歩道に、聴衆や取材陣はJR春日駅側の歩道に配置された。
取材で交流のある地元紙の記者も「なかなか写真が撮りづらい」とぼやいたが、昨年の安倍晋三元首相銃撃事件を受けての対応であり、報道陣も警察の要請を受け入れた。以前であれば過剰警備という批判も起こっただろうが、安倍元首相の事件は参議院選挙の応援演説中の出来事であり、同じことがないとは限らない。
泉代表が乗った車が次の応援先に向かうと、警備も解除となった。知り合いの私服警察官が「お久しぶりです」と声をかけてきた。
選挙は、候補者と有権者のふれあいが大事である。しかし、福岡は与野党の要人が来訪することも多い。要人警護は、不測の事態を常に想定するという。安全安心のまちづくりを進めていくうえでも、市民の協力が不可欠であることを感じた一幕だった。
【近藤 将勝】
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