中国、G7サミット報道はローキー、中央アジアとの会議の成果を強調
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21日に3日間の日程を終えて閉幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)。ロシアのウクライナ侵攻への対応が最大の争点であるなか、ウクライナのゼレンスキー大統領の訪日およびサミット出席が急遽発表され内外の注目を集めた。直前にはバイデン米大統領が国内事情から訪日を取りやめる可能性も取りざたされたが、結果的には来日し、当初はサミット後に予定されていた日米豪印「Quad」の首脳会議も広島において対面で開催された。韓国のユン大統領も訪日し、2019年以降冷え込んでいた両国の関係改善および日米韓の枠組み強化を印象付けた。
サミットの議論やそれを踏まえた国際社会の今後の対応についての評価は別として、岸田文雄首相は今年に入りインド、ウクライナ、韓国などを訪問しており、サミットでの成果に結びつけたといえる。
一方、サミットの日程にぶつけるかたちで動いたのが中国だ。旧ソ連構成国でもあった中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンおよびウズベキスタン)との間で18~19日、初となる首脳会議を中国西部の西安市で開催した。中央アジアは中ロ両国にとっていわば“裏庭”ともいえる地域であり、非同盟中立を貫くトルクメニスタンを除く4カ国は上海協力機構(SCO)において中国・ロシアとの間で安全保障を中心に協力を深化させてきた関係にある。上海協力機構は例年6月ごろ(20~22年は秋)に会議を開催していたが、今年はG7サミット前の5月4,5日にインドで開催している。中央アジア諸国は安全保障面ではロシアとの関係を重視しつつ、経済面では中国との協力を推し進めてきた。
中国も広域経済圏構想の「一帯一路」において、欧州との結節点として中央アジアを重視してきた。今回の中央アジア5カ国との首脳会議では、中国は貿易・金融・物流・エネルギーなどの面での協力強化も打ち出し、総額260億元(約5,200億円相当)の資金融資と無償援助を中央アジアに実施すると約束したほか、今後2年ごとに首脳会議を開催することを決定した。中央アジア諸国はウクライナ侵攻以降ロシアと一定の距離を置くようになっており、アメリカなども関与を強めようとするなか、中国が“裏庭”への影響力拡大を図ったものといえる。
2つのサミットについて中国ではどのように報道されているか。本日は閉幕翌日ということもあってか、G7サミットに関する記事が上位に表示されているニュースサイトはない一方、中央アジアとの首脳会議に関する記事が上位に掲載されていた。G7サミットに関しては、中国が参加していないにもかかわらず、コミュニケにおいて中国が21回も触れられていて中国から離れられずにいることを皮肉った記事が散見された。
ほか、開催反対デモの記事が目立つかたちで掲載されており、外交部報道官も関連のツイートを行っている。ほか、中国政府関連の動向としては、在日本中国大使館が20日、日本側に対してG7サミットにおいて中国に対しネガティブな動きが出ているとの「重大な懸念」を17日に伝えていたことをHPで公表している。
【茅野 雅弘】
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