『脊振の自然に魅せられて』「登山案内図15年ぶりにリニューアル」(後)
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9月26日(火)の設置作業日は、福岡市早良区脇山のワッキー主基の里(以後、ワッキー)に10時集合。参加者は脊振の自然を愛する会のデザイン担当Kと筆者、設置業者のサインエフェクトのF専務と女性の2名、西日本新聞社 K記者の計5名。狭い林道を走るので、 K記者には筆者の車に同乗して貰った。
現場に着くと、筆者は、まず虫除けスプレーを各人に散布し、登山案内図周りの下草刈りをした。その後、業者は土台となる手彫りの木製案内図に防腐剤塗装を施し、その後アルミ製の真新しい登山案内図を取り付けた。手早い作業に熟練の腕前を感じた。
2回目の椎原峠登山口の設置を終えたところで、昼食のため椎原登山口近くの知人の山小屋へ移動した。懇意にしている知人の山小屋だ。天気さえよければ毎日、福岡市西区の自宅から通ってきている。事前に、ここのテーブルで昼食を取らせて欲しいと頼んでいた。
思ったより作業が順調に進んだので、時間はちょうど12時であった。ワッキーで購入した弁当を広げ、それぞれ食した。今年8月、山小屋を訪れていたとき、自分用のコーヒー豆を預けていた。山小屋の主人Hは早々に我々にコーヒーをドリップしてくれた。
美しい大きな杉に囲まれ古くはあるが静かな山小屋で、作業に参加した皆は山の雰囲気に浸っていた。これは山小屋の主人の穏やかな気質にも拠るものだ。偶然だが大学の後輩でもある。この山小屋は古いが1年間、愛する会で管理していたので馴染みもある。その後、持ち主がこの主人に譲り渡した。
食事を終え、K記者をワッキーまで送り届け、そこで別れた。残り3カ所の作業は場所こそ違うが、作業内容は同じである。続いて、坊主が滝登山口、花乱の滝登山口、三瀬峠登山口へと移動した。
坊主が滝登山口に着くと雨が降り出した。筆者の車に積んであるポンチョ2枚を男性たちに貸した。愛車には、山の道具は何でも入れている。女性たちは自前のビニールカッパを羽織って作業した。
4カ所目の花乱の滝登山口の設置も終え、最後の設置場所、三瀬峠へ移動した。旧国道263号線の峠道である。
ここは福岡県と佐賀県の県境にあたる。江戸時代に伊能忠敬が歩行(かち)で測量した峠でもある。国道の反対側の笹藪のなかに、「これより筑前國、肥前國」と江戸時代の国境(くにざかい)の碑がある。鳥栖と登山地図を立てた所から、金山(967m)、脊振山(1,055m)まで登山道は続いている。脊振山まで、ゆっくり歩いて6時間の行程である。この縦走路の各ポイントにも道標を設置している。
設置が最後となるこの場所の下草刈りを済ませ、新しい登山案内図を取り付ける。業者の2人は地図や隣にある道標の支柱も丁寧に防腐剤を塗ってくれた。そして作業が終了するころ、1匹のアサギマダラが我々の側に舞い降りてきた。筆者には「新しい登山案内図をありがとう、お疲れ様」とアサギマダラが言っているように感じた。アサギマダラは、ふんわりと我々の周りを飛び続け皆の心を癒してくれた。
すべての作業を終了したのは予定時間の17時より早い15時だった。サインエフェクトのF専務は「楽しかったです」と言い、女性たちもにこやかだった。
帰宅すると、K記者から確認の電話があった。その後、メールで28日の朝刊に掲載されますと連絡があった。28日の西日本新聞・朝刊の首都圏版では「脊振山系登山口に新案内図」、記者も同行と掲載されていた。そして、新聞記事を見た荒瀬泰子副市長からも感謝のメールが届いた。
(了)
脊振の自然を愛する会
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