首位独走のバイナンス、巨額の罰金とCEO辞任で今後どうなる?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏ついに米司法省と罰金を支払うことで合意
最近ビットコインの価格上昇への期待感が高まっている。機関投資家などが仮想通貨に投資しやすくなる現物ETF(上場投資信託)の承認が間近で、ETFの承認で暗号資産市場に大きな資金が流れ込むのではないかという期待があるからだ。
米証券取引委員会(SEC)は今まで現物ETFの承認を断ってきたが、遅くとも来年1月中には承認が下りるだろうと予想されている 。SECが承認に躊躇している理由の1つに、暗号資産交換所によるビットコインの価格操作への懸念があったという。
ところが、今回バイナンスが米司法当局の規制に屈するかたちで合意に達したため、暗号資産交換所の不透明感は取り除かれ、承認の可能性はより一層高まったと評価する向きもある。
米司法省はバイナンスに対してマネーロンダリングの法律違反があると見て調査してきたが、バイナンスのCEOチャンポン・ジャオは自ら罪を認め、43億ドルの罰金を支払うことに合意すると同時に、CEOを辞任すると発表した。
43億ドルという罰金は、これまで中国企業に課された罰金のなかでは最大金額である。アリババが2年前、28億ドルという巨額の罰金を支払い話題になったが、アリババの罰金額もバイナンスの罰金に比べればその65%に過ぎない。
バイナンスは米法務省による提訴以外にも、米証券取引委員会からも証券取引法を違反した疑いで提訴されている。
2022年6月、バイナンスが行ったBNBトークン(独自通貨)のICO(イニシャルコインオファリング=資金調達をしたい個人や企業、プロジェクトなどがトークンやコインと呼ばれる独自の仮想通貨を発行し、それを広く投資家に販売することで資金を集めること)について、SECは証券販売のライセンスなしに不法に証券を販売したということで、調査を進めている。
バイナンスの成長と提訴
世界最大手暗号資産交換所であるバイナンスは、2017年中国の上海に設立された。ところが、中国政府が国内での暗号資産の取引を禁止したので、その後本社の登記を国外に移転。現在、バイナンスはシンガポールとサンフランシスコに事務所を置いている。本社所在地はマルタなどの租税回避地とされているものの、2023年現在の登記地は明らかになっていない。
バイナンスは暗号資産市場が成長するとともに、目覚ましい成長を遂げてきた。2017年8月時点のユーザー数は世界180カ国に渡り、12万人ほどであった。ところが、毎日ユーザーが4,000~6,000名ずつ増加し、半年後にはユーザー数は600万人を上回るようになった。
ユーザー数が増えたことで企業価値も急上昇し、バイナンスは押しも押されもせぬ企業へと成長した。バイナンスは昨年、業界2位の交換所であったFTXが破産し、そのユーザーを吸収するようになったことも幸運であった。
現在、バイナンスには全世界に1億5,000万人のユーザーがおり、社員だけでも6,000人以上を抱える世界最大手交換所に成長した。しかし、暗号資産の冬の時代が到来し、バイナンスは一時期幹部社員を大量に解雇したり、7月には一連のレイオフを実施したりしていた。
暗号資産業界の成長とともに急成長したバイナンスであるが、今回の一連の動きで、今後も成長を続けるかどうか注目が集まっている。
(つづく)
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