首位独走のバイナンス、巨額の罰金とCEO辞任で今後どうなる?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏CEO辞任の影響は
チャンポン・ジャオ(趙長鵬)はバイナンスの創業者で、バイナンスの成長に多大な貢献をした人物である。
ジャオは1977年中国・江蘇省の生まれ。1980年代に両親がカナダのバンクーバに移住。両親とともにカナダに渡った彼はカナダの名門、マギル大学でコンピュータ工学を専攻し、卒業後にフィンテック会社に入社し、ソフトウェア開発者になった。
その2年後にはブルムバーグに転職し、その後ニュージャージ、ロンドン、東京支社長などを務めている。その間にクロスボーダーの送金手数料が高すぎることと、プロセスが複雑すぎることに気づく。そのような状況下で、彼はビットコインに出会い、ビットコインの魅力にとりつかれることになる。
中国の交換所OKXの共同創業者として交換所を経験した彼は、ついにバイナンスを創業することになる。今回ジャオがCEOを辞任したことで、バイナンスは今後どのような影響が出るのか、業界も推移を見守っている。
今回の発表で比較的静かでありながらも、資金流出は発生している。その金額は報道によると、1週間に16億ドル以上とされている。資金の流出とともに、バイナンスのシェアが下がっているのはいうまでもない。
資金はバイナンスから米国交換所で上場もはたしているコインベースに移動している。バイナンスは一時期、市場シェアが60%以上を占めていたが、司法リスクが顕在化し、シェアを落とし続け、現在シェアは40%を下回るようになっている。
しかし、バイナンスの純残高は、顧客の債務を上回っていて、財務的にはまだ安定的で、資金繰りで破産するような事態はなさそうだ。ジャオは18カ月から、長い場合には10年間の刑務所暮らしが待っているので、早期対策を講じることで混乱を未然に防ぎたいと思っているようだ。
ジャオはバイナンスの成長を牽引してきたリーダーであっただけに、彼の抜けた穴は相当大きなダメージになるかもしれない。法務省の調査、巨額の罰金、刑務所行きの可能性などが、バイナンスのユーザーにどのような心理的な影響をおよぼすのか推移が注視されている。
業界再編ののろし上げ
バイナンスから引き出された資金はコインベースに移動するような動きを見せているが、ビットコインの現物ETFが承認された後も、そのような動きに拍車がかかるかもしれないと専門家はみている。現物ETFは米国の機関投資が対象になるため、米国の交換所であるコインベースの取引高が急増する可能性が高い。
そうなると、バイナンスがもっている世界最大手というタイトルをコインベースに引き渡すことになるかもしれない。さらに、バイナンスだけでなく、もう1つの中国系の交換所であるHTX(旧・Huobi)もトラブルに見舞われている。
HTXは去る9月から2カ月にかけて、合計4回もハッキング攻撃にさらされている。司法リスクやセキュリティ問題で苦戦を強いられている中国系の交換所をしり目に、米国のコインベースや韓国の最大手交換所であるアップビットが今後浮上するのではないか、という業界の再編説まで噂されるくらいである。
(了)
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