急速充電インフラ事業をめぐる激しい覇権争い(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏テスラは充電事業を制覇するのか(続)
テスラの「スーパーチャージャー」は車両に充電プラグを差し込むと、車両情報を自動的に識別して充電がスタートし、あらかじめ車両に紐づけてあるクレジットカードから課金が自動的に完了するようになっている。テスラは充電事業を有利に進めるため、テスラ車以外のEVに対して自社の「スーパーチャージャー」のネットワークを開放しており、実際多くの自動車企業が参加を表明している。フォード、GMがテスラの充電ネットワークに参加することに合意しているし、充電インフラ事業をやる会社や充電器メーカーも相次いで「スーパーチャージャー」の採用を決めている。テスラ、フォード、GM3社は、米国EV販売合計の70%を占めていて、米国ではテスラの充電規格が圧倒的に浸透している。最近メルセデスベンツも参加を表明した。
一方、テスラのこのような動向をけん制する動きもある。現代(韓)、KIA(韓)、メルセデスベンツ(独)、ホンダ(日)、GM(米)、ステランティス7社は充電同盟を締結し、既存の北米の規格であるCCSと、テスラの規格両方に対応する充電所を3万カ所設置するという計画を打ち出している。今後「スーパーチャージャー」がもっと勢力を増していくのか、それとも新しいライバルが出現するのか、米国の充電市場ではその動向が注目されている。テスラは米国とカナダにすでにある1万2千カ所の充電所で「スーパーチャージャー」の良さを顧客に経験してもらおうとしている。充電所のアクセス情報をはじめ、すぐ充電できるかどうかなどの情報をドライバーに提供するなどで、規模の拡大を目指し、ますます充電事業で優位を占めようとしている。韓国の現代自動車もスーパーチャージャー陣営に参加したいが、その場合、ユーザー情報がテスラ側に流されることになるので、参加を躊躇している状況だ。
韓国の大手企業も充電事業に続々参入
韓国国内の充電インフラ事業も拡大を続けている。2022年12月に基準に国内に設置されている充電器の数は、合計19万4,081台であった。そのなかで急速充電器が2万641台、普通充電器が17万3,440台で、普通充電器がほとんどである。充電インフラ市場の年平均成長率は27%と予想されていて、今後急速な成長が予測されている。このおいしい市場に韓国の大手企業が続々参入を始めている。現在は投資が先行する段階だが、それでも国内市場の覇権をめぐって激しい競争となっている。
EV事業を世界的に展開している現代自動車グループは、充電事業にも前向きな投資をしている。電気自動車の普及にインフラ整備は欠かせないからだ。現代自動車は自動車から自動車へ充電をする方法や、ロボットを使った充電方法など、新しい技術開発に積極的に取り組んでいる。その他には、ガソリンスタンドを経営していたGSエネルギーなどが、充電事業に乗り出し一定の成果を上げている。GSエネルギーの国内市場シェアは19%で、先頭を走っている。その他には通信キャリア事業者も、充電インフラビジネスは自社が抱えているユーザーとネットワークを活用できるビジネスとして、新事業に果敢にチャレンジしようとしている。SKやLGはそちらに該当する。LGユプラスは自社の通信インフラを活用して充電プラットフォーム事業を展開している。2030年には400兆ウォン以上になると予想される巨大市場に備えて、今から準備をしているようだ。
(了)
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