水素利用において注目が高まっている「アンモニア」(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏アンモニア発電なども視野に
水素と窒素で構成されるアンモニアは炭素を含まないため、燃焼時にCO2が発生しないカーボンフリーの燃料だ。アンモニアだけをエネルギー源に発電する「専焼」が理想的だが、石炭火力発電に混ぜて燃やす「混焼」でもCO2の排出量を抑えることができる。それで、水素のキャリアとしてだけでなく、アンモニア発電についても実証が進んでいる。
アンモニア発電の基本原理は、火力発電と同じで、アンモニアを燃焼させることによって熱エネルギーを得て、その熱でタービンを回して発電をする。よって、日本でも電力のなかで一番シェアの高い火力発電だが、燃料をアンモニアにすることで、二酸化炭素を抑制する方法が模索されている。火力発電燃料の2割をアンモニアにした場合、CO₂の排出削減量は約4,000万トン、アンモニア専焼ができれば約2億トンという試算もある。
「アンモニア」が抱える課題とは
このように期待が集まっているアンモニアであるが、課題もある。
天然ガス由来のアンモニアは、製造時に二酸化炭素を大量排出する。1tのアンモニアを製造するのに約1.6tのCO2が排出され、「脱炭素」燃料とはいえない。それに、アンモニアは燃焼速度が遅く、発熱量も小さい、すなわち燃えにくい。混焼からのスタートを目指すが、専焼には技術的課題も大きい。
加えて、アンモニアは燃焼時に酸性雨の原因となる窒素酸化物(NOx)が排出される。なお、アンモニアの製造コストや発電コストの高さを指摘する専門家も多い。最も安価な電源は太陽光であり、風力も化石燃料より安価になると推定されている状況である。
最後に、アンモニア自体に毒性・腐食性がある。このような課題を乗り越えるため、多くの企業がアンモニアに注目し、競争が繰り広げられている。韓国の企業のなかでは、斗山とSKがこの分野に前向きである。
世界的にアンモニアは中国、サウジアラビア、ロシアなどが供給をしている。韓国はアンモニアを100%海外から輸入に依存していて、サプライチェーンの脆弱性を抱えている。
(了)
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