2024年11月25日( 月 )

旧統一教会問題 自民党と保守系言論人は政界との関係を自ら検証すべき

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 文部科学省は7日、世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)の財産監視強化について、昨年成立した被害者救済法に基づく「指定宗教法人」としたことを公示した。 

教団からの書類はネット公開

 教団の「指定宗教法人」への指定について6日に宗教法人審議会に諮問したことを受けたもの。法令違反などで解散命令を請求された宗教法人で、被害者が「相当多数」とされる場合に「指定宗教法人」に指定することができる。

 指定を受けると、所有する不動産の処分に際し、1カ月前までに所轄する国や都道府県へ届け出なければならない。違反した場合、処分は無効となる。財産目録などの財務書類は3カ月ごろに提出が求められる。

 注目したいのは、旧統一教会側から提出された書類などが、文化庁のホームページで公表されることである。

盛山大臣の推薦確認書
盛山大臣の推薦確認書

    もちろん旧統一教会側は国の判断は不当であるという趣旨の弁明書を提出しているが、その動きのなかで、朝日新聞などの報道から盛山正仁文科大臣と教団の関係がクローズアップされてきた。

 昨日の参議院予算委員会でも、立憲民主党の杉尾秀哉議員が盛山大臣に関連団体の推薦確認書にサインを行ったのかどうか追及した。盛山大臣は「推薦確認書は正直、記憶にないが、新聞報道などを踏まえれば署名したのではないかと考えられる」と答弁したが、これまでも曖昧な答弁を続けてきたため、追及の的になっている。

教団と政府の解散をめぐる戦い

 こうした動きに対する政府官邸サイドの受け止め方は、岸田首相はじめとして「旧統一教会からの反撃」との認識であるという。

 2022年7月の安倍晋三元首相の銃撃事件以降、旧統一教会と政界の関係が次々明るみになったが、情報源は長年旧統一教会について取材をしてきた鈴木エイト氏らであり、ほとんどの証言は、旧統一教会の霊感商法や日本に対する侮蔑的な内容を含む教義などへの問題意識から、自発的に出されたとみられる。

 教団側は、政治家との関係性を否定するか、関連団体のホームページやSNSを削除するなど、主に防戦する側だった。

 昨年、解散命令請求に向け国が「質問権」を行使していた最中に、旧統一教会創立者の文鮮明氏の妻で現在、教団トップの韓鶴子総裁が、日本の幹部ら1,200人を前に、「岸田総理や日本の政治家を韓国に呼びつけて、教育を受けさせなさい」と指示を行うなど、教団を取り巻く状況が厳しくなるなか、「黙ったまま解散させられてはたまらない。反撃を行うべき」との機運が高まっていった。

 現在、富山市や北九州市などを相手取って行っている教団と議会の関係の断絶決議に対する訴訟や福岡市内でも行われた教団関係者による集会や街頭活動などは、政府の動きに対する反撃と言ってよいだろう。

 それに同調するかのように、保守系議員の読者が多い産経新聞社発行の『正論』が昨年12月号において、「解散命令請求への疑義」と題する特集記事を掲載するなどしたのは、「反共産主義・反左翼」という教団の関連団体を通じた政治的主張やその活動が、日本社会に深く根を下ろしてきたことの1つの証拠といえる。

 たしかに所管大臣として疑義が生じるのは理解できるが、解散命令請求以降の盛山大臣の動きを見る限り、教団に手心を加えているとは思えない。問題は一昨年の自民党の点検が中途半端なものだったことだ。教団サイドは今後も政治家との接点の証拠を出して揺さぶってくるだろう。

 自民党、保守系言論人ともに、教団との関係を歴史的経緯から遡って自ら検証する時期にきたのではないだろうか。教団と与党政治家の関係について実名証言を行った1人として、多くの被害者の救済を進めるためにも検証の実施を求めたい。

【近藤 将勝】

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