2024年11月25日( 月 )

芳野連合会長、再び「立憲と共産党との協力認めない」と牽制

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 連合(日本労働組合総連合会)の芳野友子会長が再び、立憲民主党と共産党の選挙協力に釘を刺した。

立憲・国民の支援で股裂きの連合

 芳野氏は18日の記者会見で、28日に投開票が行われる衆議院東京15区補欠選挙をめぐって、立憲民主党の公認候補が共産党の支援を受けている状況を「容認できない」と述べた。会見に先立つ中央執行委員会において、連合東京が15区での自主投票を決めたことを報告したという。

 芳野氏は就任以来、定例の記者会見などにおいて、立憲と共産が選挙協力を行うことを認めないと発言し、「共産党と共闘するならば連合は推薦できない」と圧力をかけてきた。派閥パーティー裏金問題などで岸田政権・自民党ともに支持率が低迷するなか、野党共闘のまたとないチャンスであると捉える立憲の議員などからは、反発の声がある。

 東京15区は立憲と国民が議席を争う構図であり、連合は対応に苦慮している。立憲は、前江東区議会議員を公認候補として擁立したが、国民は立憲新人の支援を行わず、小池百合子東京都知事が支援する無所属新人を推薦した。

 立憲・国民両党の支持団体である連合としては、官公労と民間労組の間で考え方に隔たりがあるなか、どっちつかずの対応を取らざるを得ない。

島根・長崎では立憲・国民が協力

 また、共産が自らの擁立予定者を取り下げて立憲新人を支援しているが、芳野氏としては容認できる話ではない。もともと日本の労働運動は、共産党支持と反共産党の二大潮流があるが、共産党系は全労連というナショナルセンターをもつ。連合は反共主義で労使協調路線を歩んできた。

 連合系と共産党系は公務労働の現場を中心に勢力争いを繰り広げてきた歴史があり、民間労組出身である芳野氏をはじめ歴代の連合幹部の多くが「共産党は、過激で労働戦線の分裂につながる存在」と考えてきた。

 そうした連合の姿勢は時に体制寄りと受け止められ、芳野氏が自民党本部の会合に出席したり、麻生太郎氏らと会食を行ったりすることへの批判も相次いだ。組織内外からの批判をかわしつつ、政権交代に向けた流れをいかにつくるか、芳野氏の手腕も問われている。

 一方、3つの補選のうち島根1区と長崎3区では、国民が県連レベルで立憲候補の支援を行い、両党の協力体制は盤石といってよい。立憲の公認候補が、島根1区・長崎3区ともに保守的傾向の強い候補であることも要因だろう。

 島根1区・長崎3区では共産は立憲候補に対して「自主的支援」にとどまっており、連合は選挙協力とまではいえないと考えているようだ。

 立憲と共産の選挙協力問題は、東京15区だけでなく、福岡県においても無関係とはいえない。

 ある民間労働組合の関係者は次のように語った。「野党の選挙調整は、今後予想される衆議院解散総選挙において必ず焦点になる。保守分裂の北九州はともかく、他の地域では、野党がバラバラでは自民党に有利に働く。だが、共産党と協力するわけにもいかない」。

 来る衆議院解散総選挙の前哨戦となる3補選の動向に注目が集まる。

【近藤 将勝】

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