「市場縮小の罠」を超える
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大手は既に日本市場を見切った
日本の住宅業界におけるトップ企業は、とうの昔に日本市場の将来を見切って活動を始めている。それらの企業が期待する市場はアメリカである。
日本を代表する積水ハウス、住友林業は10年以上前から着実に布石を打ってきた。基本的にはアメリカ企業のM&Aである。セキスイハイムはM&Aに加え、兆を超える資金で開発用の不動産を買い占めており、業界で注目を集めている。住友林業ウォッチャーは「5年もすればアメリカ合衆国での売上が日本のそれをしのぐであろう」とささやく。
地場の住宅会社も海外に食指
福岡でかなりのシェアを占める住宅会社の経営者は「日本市場の未来を見切って海外戦略を展開すべき最終段階に立たされている」と危機感を抱いている。このたび、経営陣一同でフィリピン視察を行ったところ、同国の住宅市場の未来に圧倒されたという。
現在、求められている住宅の供給が年間780万世帯不足しているとか。市民の所得は毎年増加し、人口増の勢いは止まらない。さぁ皆さん、どうする。
単独で市場を開拓する「木材供給のドン」
大分の「木材供給のドン」は毎月、「東南アジア視察」ではなく、受注活動に出かけている。アメリカ留学を経験した2人の息子は現在、現地での渉外活動に専念している。ドンが売り込もうと思っているのが高価な「日本住宅セット」である。
ドンはベトナムの富裕層の豪邸を見てきた。敷地600坪、住宅は平屋の2階建て(日本の総ヒノキ張り)には驚かされた。さらに日本庭園に池をつくり、鯉が泳いでいたという(総額5億円かかったとか)。
ドンは一時的に腰を抜かしたが、「これはビッグビジネスになる」という商売人としての魂がメラメラと燃え上がり始めた。日本の木材をふんだんに用いた伝統的な工法の高級住宅と庭園をセットにしてベトナムの富裕層に売り込むことを決意した。
ドンが本音を語る。「グッドタイミングであった。まだまだ伝統的な工法で家を建てる職人たちが大分にはいる。最初は彼らを現地に行かせて現場の指揮をとらせる。今後10年間で1万戸を超える市場があると見込んでいる」。
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