会社は誰のものか
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「会社は誰のものか」という質問に、「社員のもの」と答える馬鹿者はいない。しかし、「社員は会社の宝物」と大切にして経営する企業は、業績が好調である。本質的には会社は「株主(出資者)のもの」であり、「経営者のもの」ではあるが、絶対的かつ超法規的な所有者にはなれない。業績不振に陥り、果ては倒産ともなれば株券は紙切れ同然。個人保証の責任が発生するリスクも待ち構えている。
冒頭の「社員は会社の宝物」経営を実践している柴田社長(仮名)の会社は好調である。24年3月期の決算も、税引き前8億円を叩き出し期末ボーナスも支給した。創業者オーナーが亡くなる前から、柴田氏は代表取締役社長に抜擢されていた。コロナ渦中で「これでは会社が潰れる」という危機感を抱き、必死で経営の先頭を走った。おかげで増収増益を積み重ねた。株の評価は額面の15倍となった。
株主は先代のご婦人と2人の令嬢。柴田社長は「次の社長は社内から抜擢する」と公言している。会社としては一族の株を買い取ることが一番理想的だが、柴田社長は、「あまりにも株価が高いので、買い取るとなれば会社の資金負担が相当額になる」と判断して動きを止めた。
それを聞いた筆者は、「不謹慎な言い方で申し訳ないが、もし未亡人(80歳前後)が亡くなれば、残った2人の令嬢は莫大な相続税を納めなければならない。手元の現金は少ないだろうから株の売却に走るでしょう」と予測発言をした。柴田社長も、否定はしなかった。
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