【兵庫県知事選(1)】斎藤前知事、SNSで支持を広げ再選~「メディア」批判のネット言論の影響
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斎藤元彦前知事の失職にともなう兵庫県知事選が17日投開票され、斎藤氏が元尼崎市長・稲村和美氏ら6人を破り、再選をはたした。
選挙を支えたネット言論の影響力
斎藤氏は111万3,911票を獲得、次点の稲村氏は97万6,637票で、約13万7,000票と大きな差がついた。得票は初当選となる21年の知事選から約25万票以上増えた。また、投票率は前回より14.5%伸びた55.65%で、11年ぶりに50%を超えた。
選挙戦の序盤は「稲村氏がやや優勢」との報道が先行した。しかし、職員へのパワハラ疑惑などで、県議会の不信任決議を受け失職した斎藤氏は「改革の継続」を訴え、SNSを通じて若い世代を中心に幅広い世代に支持を伸ばした。
斎藤氏は「SNSを通じた選挙戦を広げさせていただいた。何が正しく何が真実か、そしてどうあるべきかということを1人ひとりの県民の皆さんが判断していただいた」と述べ、「県民の皆さん1人ひとりのまさに勝利」と再選への感謝の思いを語った。再選にSNSやYouTubeから広がったネット世論の力が大きく寄与したことは間違いない。なかでも、知事選に立候補した「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首の発信は終盤において大きな影響をおよぼした。
旧自治官僚系知事が続く兵庫県政
兵庫県では1962年に知事に就任した金井元彦氏、坂井時忠氏が旧内務省出身(旧・自治省の前身)。続く貝原俊民氏、井戸敏三氏も旧・自治省出身であった。
斎藤氏は旧自治省の系譜である元総務官僚で、5代にわたり旧自治省系の知事が続くことになる。一貫した保守県政だが、兵庫県は社会党委員長を務めた土井たか子氏の出身地であり、自民と自治労を支持基盤とする旧社会党系を中心に県政運営を担ってきた。
斎藤氏は総務省在職中に新潟県佐渡市や宮城県に出向した経験をもち、立候補直前には大阪府の財政課長を務め、吉村府政を支えていた。維新の改革路線に職員組合である自治労は反発してきた。21年の選挙において、斎藤氏は自民党の推薦も受けているが、維新に近い知事ということで、当初から野党系を中心に県議会において「大阪のようになるのでは」と警戒する声があった。
とくに第4会派で立憲民主党系の「ひょうご県民連合」との関係が良好ではなく、不信任決議は、県民連合が主導し、自民党など各会派がそれに乗るかたちで提案された。
自民党県連は今回斎藤氏を支持せず、稲村氏を支持する県議もいたが、「左派的な稲村氏は支持できない」という議員も多く、神戸市議団は維新系の候補を推薦するなど分裂した。
今回の選挙戦は、そうした「政争」の一面もあるが、既存の政党やメディアの在り方に不満をもつネット言論が、斎藤氏を支持したことの意義は大きい。
【近藤将勝】
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