2024年12月23日( 月 )

八女市議会総務文教委・ハラスメント条例を求める請願を否決

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 八女市議会総務文教常任委員会(服部良一委員長)は18日午後に開かれた委員会で、3月議会において、八女市や久留米市など筑後地区の住民から提出されていた「あらゆるハラスメントの防止を求める条例制定を求める請願」を反対多数(賛成2、反対4)で否決した。

全員が条例自体の必要性は認める

 請願は、3月議会から継続審査となり、この間、委員会が議会ハラスメント防止条例を制定している筑紫野市議会の視察や、八女市役所内の関係部署への聞き取りなどを行っていた。

 請願内容は、「公共性の高い場におけるハラスメントの横行は、行政・議会などの公共機関に対する市民からの信頼を失うことにもつながり、現場で働く職員の士気の低下などの影響は大きい」と指摘し、福岡県内においては「県議会が『福岡県における議会関係ハラスメントを根絶するための条例』を制定し、県下の市町村議員を対象に研修会を開催する」などハラスメント防止の取り組みを行っていることに言及している。

 行政の現場においては、議会に先行してハラスメント防止の取り組みが行われてきた。福岡県内全市町村が参加し設立された「福岡県市町村職員研修所」では、ハラスメント防止研修を県内の市町村職員(会計年度任用職員を含む)を対象に実施している。人権尊重の観点からみても請願に反対する理由は見当たらない。

 だが、委員会における請願審議で服部委員長は「あらゆるというのは範囲が広すぎる」などという理由で否決にこだわった。9月議会後、請願を否決する動きが伝わり、議会運営委員長の川口誠二市議と副議長の高橋信広市議より、「人権問題に取り組んできた八女市が全国から誤解を受ける」として「一部採択ではどうだろうか」と水面下で妥協を模索する動きもあった。「可決すべき」との立場をとっていた栗原吉平市議も最終的には否決へと傾いた。

 委員会での採決にあたり、服部委員長は「請願が否決されても条例は制定すべきと考えており、議会運営委員会に持ち帰って動いていただきたいと12月議会での委員長報告で申し添える」と発言し、条例制定の必要性は認めた。

 ほかの議員も、「ハラスメント行為は許されない」との考えでは一致したものの、請願の紹介議員である牛島孝之市議と古賀邦彦市議(共産党)のみが賛成で、否決された。

請願者からは反発の声

 公明党の三角真弓市議(元副議長)も反対に回ったが、公明党は、平和・人権を重視してきた。同党は、大野城市役所におけるハラスメント行為を問題視しており、対応のちぐはぐさに支持団体の創価学会内部などから批判の声が上がる可能性がある。

 請願人代表で八女市出身の西方美知さんは「これだけパワハラやセクハラ、カスハラ(カスタマー・ハラスメント)が問題となっているのに、否決されたことが残念でならない」と述べ「人権問題を軽視しており、議会は自分たちの都合を優先している。八女市議会に抗議の声を上げたい」と語った。

 この日は10日の八女市長選で当選した簑原悠太朗市長の初登庁日であり、総務文教委員会の直前には、市議会全員協議会において市長就任の挨拶が行われていた。今回の件は「開かれた市政」・「行政改革」を掲げて当選した新市長の就任直後に議会が水を差す結果となった。

【近藤将勝】

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