参議院安倍派が裏金問題で政倫審出席に応じたワケ
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自民党派閥の政治資金規正法違反事件は、衆院選で安倍派を中心に多くの落選議員が出た。一方、安倍派に所属していた参議院議員は政治倫理審査会(政倫審)への出席意向を示している。
臨時国会の開会日である11月28日、自民党の武見敬三参議院議員会長は、立憲民主党の水岡俊一参議院議員会長らと国会内で会談し、関係した27人全員が政倫審への出席を希望していると伝えた。武見氏は、年内に弁明が終わるよう立憲側に協力を求めている。会談には、自民の松山政司参議院幹事長、立憲の斎藤嘉隆参議院国対委員長が同席した。
これまで政倫審出席に応じてこなかった参議院側がなぜ急に、出席の意向を伝えたのか。来年7月には参院選が行われる。石破茂首相は「不記載問題は、おのおのが説明責任をはたすため、政倫審を含め、あらゆる場を積極的に活用するよう促す」と発言しており、政倫審出席が「公認」するかどうかの判断基準になることを、参議院側が警戒していると思われる。
安倍派では、派閥の政治資金パーティーで集めた資金について、派閥の政治資金収支報告書には販売ノルマ分のみを報告。超過分は記載せず、議員に還流していた。参議院議員については、改選の年は、集めた全額が返ってくる仕組みだったという。改選年の措置は、選挙資金を要することが理由のようだ。
来夏の参院選を控え、参議院側としては、裏金問題の追及を受け続けることは、選挙に不利となる。早期の幕引きを図っているとみるべきだろう。
今回、政倫審への出席意向を示した参議院議員は、全員が安倍派所属である。比例では、山谷えり子氏、井上義行氏、衛藤晟一氏、九州・山口関係では、江島潔氏(山口)、北村経夫氏(同)、長峯誠氏(宮崎)などがいる。
27人のうち、15人が来夏の参院選で改選となる。このうち、衛藤氏は、来夏の参院選には立候補せず引退を表明している。
衆院選で、萩生田光一氏など12人が非公認となり、政倫審で説明していない議員は、比例重複を認められなかった。参院選でも同様のことが行われた場合、安倍派の影響力がさらに削がれることにもなりかねない。
自民内には、安倍派を中心に石破首相に批判的な議員が少なくないが、「来年の参院選までは、石破政権で行くしかないだろう」との雰囲気がある(自民党関係者)という。
問題は、臨時国会の日程が今月21日までとタイトなことだ。補正予算案の審議や、焦点となっている政治資金規正法の改正審議もあるなか、政倫審を行うとなれば、時間は非常に限られる。
自民側には、国民の批判を受けた「政治とカネ」の問題について、説明責任をはたす姿勢を示して信頼回復につなげたい考えがあるが、野党側の追及により、自民のマイナスイメージがさらに広がることも予想される。
国民にとっては、政倫審で説明が行われることで、政治家の本音がどこにあるのか見極める機会ともなる。
【近藤将勝】
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