2024年11月25日( 月 )

日本経済が本当の意味で復活するための条件

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NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、2016年版のTRIレポート『日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意-』について触れた、12月18日付の記事を紹介する。


 12月17、18日に日銀政策決定会合が開かれ、日銀が追加金融緩和を決定した。しかし、大きな内容は盛り込まれなかった。
 また、米国FRBは12月15、16日のFOMCでFFレートの誘導目標を引き上げた。9年半ぶりに金融引締め政策が実施された。

 『金利・為替・株価特報』2015年12月14日号では、これらのことをすべて予測済みである。予測通りの政策推移、市場変動が生じている。
 『金利・為替・株価特報』=TRIレポートは会員制のレポートで、月に2度発行しているものだが、このTRIレポートの年次版を2013年から刊行している。出版元はビジネス社である。タイトルは、2013年版 『金利・為替・株価大躍動』、2014年版 『日本経済撃墜』、2015年版 『日本の奈落』だった。

 2013年版では、政治の変化が政策の変化をもたらし、円安と株高が急激に進行することを予測した。日経平均株価の16,000円への上昇を明記した。
 2014年版では、消費税率5%から8%への消費税増税強行実施により、日本経済が撃墜されることを予測した。現実に、日本のGDP成長率は、2014年4-6月期に、年率マイナス16.3%(外需と在庫投資の影響を除去した国内最終需要ベースの経済成長率)という未曽有の転落を示した。文字通り、日本経済は、消費税増税によって撃墜されたのである。
 2015年版では、安倍政権が2015年10月の消費税率10%に突き進むなら、日本経済が奈落に転落することを警告した。これを回避するためには、消費税再増税を延期、または凍結、または中止する必要があることを指摘した。私が設定した当初タイトルは「日本の瀬戸際」で、消費税再増税への突進を中止するのかどうかが最重要の焦点であることを指摘した。同時に、2014年内の解散総選挙の可能性があることを指摘した。
 現実に、安倍政権は、再増税を延期して解散総選挙を実施した。

 2016年版のTRIレポートは2015年の除夜の鐘をまたいで刊行される。タイトルは『日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意-』である。すでに、アマゾンでは予約受付を開始した。画面上の刊行日は2016年1月7日になっているので、配本は年明けになるが、ぜひ、予約ご注文を賜りたく思う。
 タイトルが示すように、日本経済が本当の意味で復活するための条件を明示した。過去30年間の日本経済の推移を詳細に検証すると、「経済変動を引き起こしている最重要の要因は経済政策である」ということが明瞭に浮かび上がる。その経済政策に焦点を当てて、激動の時代の金融変動を読み抜く極意を伝授しようとする書である。ぜひご高覧賜りたい。

 12月18日の金融政策決定会合で、ETF購入枠拡大などの追加金融緩和措置が示される可能性が高いが、本格的な量的緩和の追加は可能性が低いと指摘してきた。そして、その通りの現実が明らかになった。米国が利上げをしたが、利上げを始動しても、必ずしもドル高の流れは加速しないであろうことも予測してきた。

 この点を見つめたときに、見落とせないのは、昨年6月10日の、国会における黒田東彦総裁発言である。黒田氏は、「実質実効為替レートは、さらなる円安はありそうにない」と述べた。突然、この人が何を言い始めたのか、と、理解できない人がほとんどだった。いまだに、何を目的に、何を言おうとしたのか、明白ではない。

 しかし、TRIレポートでは、その背後にTPP交渉が存在することを指摘し、これ以上の円安進行の可能性が低いことを指摘した。そして、ドル円レートは、1ドル=125円を大きくは上回らずに現在まで推移してきている。

※続きは12月18日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1319号「黒田日銀の政策運営が『終わっている』背景」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

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