安倍政権のバラマキ選挙買収放漫財政を糺す
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NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。本日は、大企業がマスメディアを支配するがゆえに安倍政権が存続し続けるという構造に翳りが生まれている今、主権者勢力が次に取るべき行動を示した1月7日のブログを紹介する。
2016年の金融市場は波乱含みで始動した。
『金利・為替・株価特報』では、昨年6月以降、ドル円の大幅円安の可能性が後退していることを指摘してきた。昨年6月10日に、黒田東彦日銀総裁が国会答弁で、「これ以上の実行実質レートでの円安はありそうにない」と発言した。この発言の背景に、円安誘導を批判する米国議会の意向があった。
日本は米国の命令で、TPP交渉をまとめ上げる責務を担わされている。2012年12月の総選挙で「TPP断固反対」のポスターを貼り巡らせた安倍晋三自民党が変節して、TPPに前のめりになっているのはこのためである。このTPP推進の障害になっていたのが、日本の円安誘導であった。米国議会は、TPPのなかに、自国通貨切り下げ禁止の条項を盛り込むことを強く主張している。
このことが背景にあり、日本は円安誘導を推進することができなくなった。
現実に、黒田発言があった2015年6月以降、ドル円レートの円安はまったく進行していない。他方、日本円の水準は、長期の為替レート変動の中心に位置すると考えられる購買力平価と比較して、大幅円安水準に振れている。英国経済誌「エコノミスト」が毎年年初に提示する「ビッグマック指数」では、ドル円の購買力平価は1ドル=78円と算出されていた。OECDが算出している購買力平価でも、ドル円は1ドル100円という水準が提示されている。米国の利上げ観測が存在し続けてきたため、ドル上昇観測が強く残存してきたが、利上げが実施されて、「材料出尽くし」になった。また、米国の利上げペースは、極めて緩やかなものになるとの見通しが強まったこともドル上昇力を弱めている。
日本の株式市場では2004年4月以降、ドル高=株高、ドル安=株安の連動関係が観察されてきた。
ドル円相場が、円高=ドル安に振れ始めて、日本株価が反落傾向を強めている。暴走する第二次安倍政権が3年もの長期政権となった最大の背景は株価上昇である。2012年11月14日に8,664円だった日経平均株価が2015年6月24日に2万864円に上昇した。この株価上昇が安倍政権を支えてきた。この期間の株価上昇の最大の特徴は、日本経済の本格浮上を伴わなかった点にある。
株価は上昇したが、日本経済は低迷を続けているのだ。経済全体が低迷し続けているのに、株価が上昇したというのは、経済活動の果実の分配において、大資本の分配所得だけが増大し、労働者の分配所得が圧縮されたことを意味する。円安進行は輸出製造業の企業収益を大幅に増大させた。各種労働規制の緩和は、企業の労働コスト圧縮に寄与してきた。大企業だけが潤い、大企業だけが優遇され、株価が上昇したのである。法人税だけが減税され、庶民を苦しめる消費税大増税が強行されてきた。
それでも、安倍政権が存続し続けているのは、日本の言論空間を大資本が支配しているからである。
民間マスメディアの運営は、大資本が提供するスポンサー支出に依存する。大企業がマスメディアを支配し、安倍政権礼賛の情報操作を展開しているために、この安倍政権が存続し続けているのである。
しかし、その構造に明確な翳りが生まれている。円安=株高の図式が、ついに壊れ始めているからである。
このチャンスを、主権者勢力は最大限、活用しなければならない。安倍政権を一気に劣勢に追い込み、その流れのなかで2016年の国政選挙を勝ち抜く方策を生み出さなければならない。※続きはメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1335号「安倍政権のバラマキ選挙買収放漫財政を糺す」で。
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