2024年11月25日( 月 )

甘利辞任は甘利事件全容暴露出発点にすぎない

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。本日は、閣僚辞任を表明した甘利明氏について、報道では報じられていない甘利氏の発言の核心部分について迫り、議員辞職の可能性を示唆する1月29日のブログを紹介する。


 第二次安倍政権の中核閣僚の一人である甘利明氏が閣僚辞任を表明した。議員辞職はまだ表明していない。国会で質問を受けていた甘利明氏自身の現金受領について、本日の会見では、現金を受領したことを認めた。他方、甘利事務所は当該企業から依頼を受けて、URとの交渉に関与している。

 「あっせん利得罪」についての刑事責任が問われる可能性がある。

 甘利氏は会見で、現金受領を認めたが、寄付として処理し、政治資金収支報告書にも記載していると述べた。この部分がもっとも重要な部分になる。

 当時の資金管理手続きとして、寄付の処理、収支報告書への記載が、正確な日付で行われていたのかどうかが焦点になる。問題発覚から本日の会見での説明まで、1週間以上の時間が経過している。この間に、甘利氏自身の刑事責任を免れるための口裏合わせのようなことが行われなかったか。

 その疑惑を解明することが今後の焦点になる。

 会見では、悪いのは秘書であって、甘利氏自身は、あたかも被害者であるかのような説明ぶりが強調されたが、安易にそのような図式で処理することは適正でない。甘利氏自身が受領した100万円の処理が透明に行なわれたのかどうか、現時点では大きな疑義が残るからだ。

 報道によると、政治資金収支報告書では、によれば、S社名義で2013年8月20日に自民党神奈川県第十三選挙区支部に100万円、2013年9月6日に神奈川県大和市第二支部に100万円の寄附が行われている。

 週刊誌が伝えている現金提供は、

 13年8月20日、公設秘書に500万円
 11月14日、甘利本人に50万円
 14年2月1日、甘利本人に50万円
 11月20日、公設秘書に100万円

 が渡ったというものである。

 週刊誌報道によると、建設会社の総務担当者は13年8月20日、URとの係争の一つが解決した謝礼として500万円を甘利氏の秘書に供与した。
 その際に総務担当者は100万円と400万円に分割した領収書を受け取った。
その領収書は、いずれも第13選挙区支部の領収書だった。
 ところが後日、秘書から、二つの領収書のひとつである100万円分は大和市第2支部の領収書にしてほしいと頼まれて応じたという。
 収支報告書に記載のある200万円の寄附の記載は、このことを指していると見られる。

 しかしながら、甘利明氏自身が受領した

 13年11月14日の50万円
 14年2月1日の50万円

 については、第13選挙区支部の収支報告書に同日付での寄付の記載はない。

 甘利明氏は会見で、上記の50万円の現金受領の2回分について、収支報告書に記載したと説明したが、その現物を提示していない。上記期日での寄附受領の記載がなければ、甘利氏は会見で虚偽証言をしたということになる。
 
 報道では、甘利氏の発言の核心部分について、政治資金収支報告書と対比した事実究明がない。「適切に処理するように秘書に指示した」だけでは、何らの潔白の証明にならない。同日付の収支報告書への記載があって、初めて正しい記載になる。
 なにしろ、小沢一郎氏の公設第一秘書の大久保隆規氏は、未来産業研究会と新政治問題研究会という二つの政治団体からの献金を事実通りに記載して、「虚偽記載」だとして逮捕、起訴されたのである。
 NHKは早速、甘利氏を英雄視する報道を展開しているが、ほとんど朝鮮中央テレビの状況である。 甘利氏本人の疑惑はまったく解消されていない。

 国会は、関係者を参考人として国会に招致して、事実関係の解明を徹底して行う必要がある。恐らく、甘利氏は少なくとも議員辞職に追い込まれることになる可能性が高い。


※続きはメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1352号「甘利辞任は甘利事件全容暴露出発点にすぎない」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 

関連キーワード

関連記事