甘利辞任で支持率上昇というウソのようなウソ
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、甘利明氏の引責辞任後の内閣支持率について書かれた、2月1日付の記事を紹介する。
昨年8月15 日に安倍首相が敗戦70年談話を発表した。村山談話を踏襲するとしながら、肝心な部分を自分の言葉として表現しなかった中途半端なものであった。とても高く評価できるものではなかった。しかし、談話発表直後にメディアは世論調査を実施して、内閣支持率が上昇したと報道した。安倍首相は当初、侵略、植民地支配、痛切な反省、こころからのお詫びのキーワードを外す方針を掲げた。しかし、そのような歴史修正主義的行動に対して内外から批判が強まり、このキーワードを盛り込むことに追い込まれた。しかしながら、当初の方針との齟齬が生じることから、これらの表現を自分の言葉としてではないかたちで表記した。中途半端な表現であり、わざわざ談話として発表する意味のないものであった。真実の内閣支持率はさらに低下したと考えられる。
しかし、主要メディアが発表した内閣支持率の数値は上昇した。このことについて、私は8月16日付ブログ記事「五輪エンブレム問題報道拡大恐れる安倍政権」に「安倍政権が窮地に追い込まれ、メディアに対する締め付けを強化していると推察される。首相談話後の世論調査で支持率が上昇したというのは、真実であるかどうか疑わしい。安倍政権が政権末期の状況に陥るのを回避するために、人為的な操作を加えている可能性が高いと思われる」と記述した。
甘利明氏の「政治とカネ」問題が発覚して、甘利氏が大臣室で業者から現金を受領していたことが明るみに出た。「あっせん利得処罰法違反」や「政治資金規正法違反」での刑事責任が問われる可能性も高い。当然のことながら、甘利明氏は引責辞任した。この事件を背景に、内閣支持率は低下するのが順当である。ところが、メディアが発表した世論調査結果では、内閣支持率が上昇した。これを鵜呑みにすることはまったくできない。
「重大事案直後の世論調査数値の改竄」が、新しい情報操作、情報工作の、最重要手法のひとつに浮上していると考えるべきである。こうした仮説を提示して、それを明確に否定し切ることは不可能である。なぜなら、メディアの世論調査には法的な規制、客観的な監視が存在しないからである。政治権力が注力しているのは、ダメージコントロールである。問題が生じたときに、そのダメージをいかに圧縮するか。これが情報操作、情報誘導の最重要のポイントになる。
今回の金権腐敗スキャンダルなどは、政権が転落する契機になる、最重要の事案である。普通に世論調査をすれば、内閣支持率が急落するだろう。この内閣支持率の急落が、政権失墜の引き金になる。逆に考えると、何らかの方法で、世論調査の数値を操作できれば、これほど権力にとって利益になることはない。今回の金権腐敗取スキャンダルでは、安倍政権の情報工作チームが総力戦を展開したと見られる。テレビ番組では、政権工作員が、政権のダメージを圧縮するための発言を機銃掃射のように連発した。具体的にあげればきりがない。そのうえで、世論調査数値を改竄した疑いが濃厚なのだ。この数値を高く発表して、世論を誘導する。たしかに効果的な手法だ。
いまの安倍政権であるから、このようなことが行われているという可能性を念頭に置いて情報に接する必要がある。かつて、メディアが小沢一郎氏を集中攻撃していたとき、メディアの幹部が次の情報を漏らした。このことを、私は2010年9月21日付のブログ記事「代表選マスゴミ悪質情報工作を裏付ける重大証拠」に記述した。
※続きは2月1日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1355号「世論調査不正利用明言していた御用メディア幹部」で。
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