2024年12月22日( 日 )

食品とレストランの融合「グローサラント」で食品売り場をイノベーション

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 食品とレストランの融合「グローサラント」でSMの売り場を活性化し、即食需要を喚起し、買ってすぐ食べる「ここdeデリ」を展開し、新しい食シーンを現出させたイオン。店舗過剰に加え、ドラッグストアやコンビニとの競争も激しいなか、グローサラントを切り札に、次世代型SM店舗の構築に向かって前進しようとしている。

グローサラントで大変革

ここdeデリ

 いま、イオンリテールの売り場で大きく変わろうとしているのが食品売り場。グローサラントによるイノベーションが起こっている。

 「ここdeデリ」の取り組みはまず、店内で食べるためのイートインスペースを設けることからスタートする。店舗によって100席程度から2、30席まで規模はさまざまだが、気軽に利用できる明るくカジュアルな空間に仕上がっている。

 次に必要なのは調理をしなくてもすぐ食べられるフードコンテンツである。イオンはこれを独自に開発しており、惣菜売り場の改革にも取り組み、生鮮売り場とも連携して多種多様なものを提供している。

 チャレンジングな取り組みが専門性を高めたフードショップ。ステーキの「ガブリングステーキ」と、海鮮丼の「魚魚彩(ととさい)」は、生鮮売り場で販売している商品を使い、隣り合わせの売り場で展開しているところもある。

 生パスタの「ペルゴリーノ」と軽食とワインのイオンリカーの「バル」もあり、これらのショップは注文を受けてから調理するバイオーダー形式で、価格は手頃だが本格的なメニューをそろえている。

 おにぎりの「ほのみ」、サンドイッチの「デリサンド」は、店内で製造し、できたてを、コールドプレスジュースの「デポオデサンテ」もその場で絞って提供する。

 惣菜売り場は弁当をはじめ、すぐ食べられるアイテムも多いが、洋メニューを中心としたデリカショップ「リワードキッチン」では、今春から温かい惣菜もそろえ、最大14種類を対面で販売、温惣菜と冷惣菜のなかから3品を選べる「よくばりごはんセット」も用意した。

リアル店舗の魅力を高める即食機能

ここdeデリ

 SMのイートインスペースで以前からよく食べられているベーカリーアイテムでは、同じく今春から、「カンテポーレ」で、モーニングセットを用意しているところもある。

 また、コーヒーと輸入食品の「カフェランテ」では、新たにカフェ業態を開発、自家焙煎コーヒーをハンドドリップとサイフォンで提供、デザートもそろえ、その場で焙煎するコーヒー豆やコーヒーに合うフレーバーナッツも販売する。

 今後も新たなコンテンツを開発していくが、店舗の立地や規模によって組み合わせを変え、即食需要を取り込んでいこうとしている。

 また、こうした取り組みで、人が集い、気軽に食事をし、語り合うスペースを提供する「ここdeデリ」。当初は差別化のためのサービス機能という位置づけでスタートしたが、運営ノウハウも確立し、黒字化のメドも立ち、これから収益事業として展開をしていこうとしている。

 こうした取り組みで、SMでは惣菜の売上構成比は通常10%前後だが、導入している店舗では20%を超えるケースも出てきた。

 グローサラントは米国発だが、イオンは日本流にアレンジして、集客の核として機能させ、将来的には収益の柱の1つに育て上げようとしている。

 SMの主要な機能である野菜や肉、魚といった食材も拡充していくが、買ってすぐ食べる即食機能の需要を新たに喚起することで、テイクアウトも含めてプラスアルファの売上を創出することを目指している。

 そして、利益率の高い総菜やフードショップの構成比を高めることで、低水準にとどまっているSMの収益力を上げることにもつながる。そして何より、ネットスーパーでは体験できない飲食体験を楽しむことができ、リアル店舗の魅力を高めることができる。

 今後はさらにコンテンツをブラッシュアップさせ、必要な機能や品ぞろえをそれぞれの店舗ごとにさらに付加していく。グローサラントという新たに手に入れた武器を最大限に使って、食品売り場のイノベーションを推進し、次世代型のSMの店舗づくりに邁進していく。

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