【追及・アベ政治】下関市長選に反アベ政治の急先鋒が出馬表明
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田辺よしこ市議が出馬表明―「桜を見る会」で疑惑追及
「桜を見る会」疑惑の再燃で、国会招致必至の事態に追い込まれつつある安倍晋三前首相(山口4区)。地元・下関ではさらなる凋落を招きかねない動きが始まった。本サイト12月4日公開のインタビュー記事で紹介した通り、「下関からアベ政治(私物化・忖度)を変える」と意気込む田辺よしこ市議が12月15日、辞表届を議長に提出。その後に記者会見に臨み、「下関市長選」(2021年3月14日投開票)への出馬を正式に表明したのだ。
会見冒頭から田辺氏は、安倍前首相の元秘書で市議から市長となった前田晋太郎氏との対決姿勢を鮮明にした。「最近の政治、行政、とくにここ数年の政治、行政は権力者による公金や公権力の私物化、不公平、不公正な事件が相次ぎ、国民を軽視しているとしか思えません」とアベ・スガ政治を批判。さらに「本市においても、国政を真似たように公権力や公金の私物化が疑われていること、あるいは公正、公平であるべき市政が歪められている事例が発生しています」と続けた。中央のアベ私物化政治とそのミニ版のような前田市政を重ね合わせたうえで、「脱・アベ政治の狼煙を下関から上げる」と宣言した。
市議生活6期22年間を締めくくる12月議会の質問でも、この追及姿勢は一貫していた。首相主催の「桜を見る会」は各界で功労・功績があった人が招待されることに注目した田辺氏は、「前田市長はどのような功績・功労で招待されたのか」と問い質し、「市長だからです」という答弁を引き出した。政治的活動(政務)ではなく、市長としての公務であったことを明らかにしたわけだが、田辺氏は首を傾げた。
「東京往復の交通費を税金から出してもらったわけですが、桜を見る会参加の出張報告書は見たことがありません。わざわざ下関から上京をして、安倍首相らにどんな陳情や意見交換をして市政に活かしたのか不明瞭です。桜を見る会に参加した元自治会長や知人に聞きましたが、どんな功績や功労があって呼ばれたのか説明できた人はいませんでした。下関市長選や国政選挙で汗をかいた安倍派の人たちが論功行賞で呼ばれているとしか考えられないのです」(田辺氏)
前田市長は安倍派市議時代に4回、市長として3回「桜を見る会」参加したが、野党が「地元支援者への供応ではないか」などと問題視しても、前田氏は市長会見で「地元支援者の晴れ舞台」「何が悪いのか」と反論、安倍首相(当時)を援護射撃する役を買って出ていた。
これに対して田辺氏は2019年12月1日と2日、「桜を見る会」野党追及本部の現地視察で、「桜を見る会」が下関市長選の選挙対策の意味合いも有していたことを議員に説明。今年1月17日には上京して国会内でのヒアリングに参加、「桜を見る会」参加者への聞き取り結果を紹介するなど、疑惑追及の急先鋒として地元で活動してきた。安倍前首相を擁護してきた市長と、追及してきた市議という対照的な2人が激突することになったのだ。
下関から脱・アベ政治のうねりをつくる
下関でのミニ・アベ政治の具体的事例についても田辺氏は、市議会で次のような質問をしていた。
「市役所前庭を一個人業者に貸し出すことによる、唐戸地区商店街への打撃は考慮されているか。公募・審査・決定について、審査員5名のうち過半数の3人が市職員であり、決定はこれら3票によるもの(外部委員は2名)。公平な審査がなされていると思えない。市の情報発信ツールである市報で一個人を宣伝するのは公平といえるのか」
恣意的な選考を疑われた市役所前庭の喫茶店開設は、プロポーザル方式(提案型入札)で、市幹部職員が選考委員の過半数(5名中3名)を占めていた。意中の業者を選考可能な入札方式と人選になっていたのだ。フリーの記者が質問できない記者クラブによる出馬会見の後、単独インタビューで私はこの問題を聞いた。
――(安倍派下関市長による市政では)これまでは、ともすると安倍系の企業が良い仕事(市の事業)を取ったりしていた。
田辺市議 はい。談合というか、入札においてもプロポーザルで市役所前に喫茶店ができたのですが、結局、(前田)市長の意中のところが取ってやっていると。イベントをやるときは大繁盛するのですが、そのイベントを組むのも市が出している。お客さんだけはそこに行く。
――そういうミニ・アベ私物化政治、忖度政治が下関でも罷り通っている。
田辺市議 だから自分だけとか、自分のお友だちだけが儲かることを考えてはいけない。そういう政治を(下関市長選で)変えるということです。
下関から脱・アベ政治のうねりをつくると宣言したように聞こえたが、そんな市長選勝利への自信も田辺氏はのぞかせていた。
「安倍前首相は総理辞任と『桜を見る会』の疑惑再燃で急激に力が落ちています。地元の安倍事務所も右往左往し、公設第一秘書の配川博之氏が逮捕される可能性も囁かれています。前回(2017年)の下関市長選は安倍前首相と昭恵夫人が一緒に全力投球をしましたが、今回はどこまで応援ができるのか。だから安倍派市長による市政にピリオドを打つ絶好のチャンスなのです」
下関市長選に向けた態勢は整いつつある。自民党が全6議席(衆院4小選挙区、参院2)を独占する山口県だが、野党共闘の先進県でもある。1区と3区が立憲民主党の大内一也氏と坂本史子氏、2区は共産党の松田一茂氏が野党統一候補となることが決定した。
そして安倍前首相の山口4区も、れいわ新選組予定候補の竹村克也氏を野党共闘で応援することの地元合意ができているという。ちなみに竹村氏の選対本部長は田辺氏が務める予定だ。県内4小選挙区で「自民党現職 対 野党統一候補」という構図となり、次期衆院選の山口4区と下関市長選が連動するのは確実だ。脱・アベ私物化政治イエスかノーかを問う下関市長選が注目される。
【ジャーナリスト/横田 一】
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