2024年12月22日( 日 )

【内部告発】鈴木直道知事が中国系企業へ利益供与疑惑の「夕張リゾート」が破産(後)

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 「夕張再建」をアピールして2019年4月の北海道知事選で初当選した“菅チルドレン”の鈴木直道知事が “売国(故郷)奴”のような職務怠慢を続けている。夕張市長時代に中国系企業に2億4,000万円で売却した夕張リゾート(マウントレースイスキー場、ホテル)が19年3月に香港系ファンドに15億円で転売された後、昨年12月に廃業・破産申立を発表、歴史のあるスキー場が営業停止に追い込まれてしまったのだ。

(前)から続く

夕張リゾート関係者の内部告発~夕張市と道庁の怠慢明白

夕張リゾートの内部文書(2020年12月9日)。
「まずは冬期休業という事で今後の対応については答えない」
など、対応マニュアルが書かれている。

 しかもリゾート破綻(営業停止)は昨年12月以前に予測可能だったという内部告発が夕張リゾート関係者から寄せられている。破産を前提にした計画倒産であることを物語る12月9日付の内部文書を提示され、こう解説してくれたのだ。「(冬場に)スキー場をオープンするには2,000万円ぐらいかかるのですが、そんなお金がないことはわかっていたのです。スキー場を開けないことをわかってチケットを売っていた。しかも12月になる前に暖房業者も引き上げていたので、ホテルも(冬季に)開けられない状態になっていた。お金を支払わないので暖房設備の修理もできないまま放置されていました」(夕張リゾート関係者)

 関係者によると、昨年(2020年)の夏ごろから従業員への給料支払いも滞っていたという。昨年2月に従業員約150人の希望退職を募り、パートや派遣社員が辞めていき、「失業保険がもらえる」「退職金を支払うから」という甘言に乗って辞めた正社員もいたが、退職金も未払い状態にあるという。残った従業員の給料は問答無用で半額にされ、昨秋には従業員約30人まで減っていた。この時点で破産確実の事態に陥っており、弁護士との相談も始めていた可能性もある。

 「コロナ対策用でアクリル板を購入、冬季に向けて内装(ペンキ塗り)の準備もしていたが、途中でストップがかかった。昨夏に農協からメロンを買う時も『現金支払いではないと売らない』ということになった。10月頃には、水道代も従業員の住民税も払っていない状態になった。ガソリンスタンドでも現金でないと燃料も売ってくれなくなった」(夕張リゾート関係者)

閉鎖された夕張リゾート・マウントレースイスキー場
閉鎖された夕張リゾート・マウントレースイスキー場

 関係者の証言からも、昨秋の時点で夕張リゾートが破産確実でスキー場のオープンは困難という情報を夕張市役所は容易に得ることができたはずだ。夕張リゾート関係者はこう続けた。

 「水道代も住民税も滞納しているわけだから、破産寸前の情報は入っていたと思います。しかも従業員の給与からは住民税を天引きしていた。(夕張市の近くの中核都市)岩見沢市の労働監督基準署の職員は『これは犯罪だ』と言っていました。夕張リゾートの従業員が退職金未払いなどで何人も相談に行っていたようです。ただし退職金や給料未払い分に対して裁判を起こす動きは今のところはない。訴訟費用の工面も大変だし、泣き寝入り状態になっています」(同)

浮き彫りになる「計画倒産」の実態

 以下は、夕張リゾート関係者との一問一答。夕張市と道庁の情報収集不足や職務怠慢ぶりを厳しく批判していた。

 ――12月9日付の内部文書を出した夕張リゾートの米澤僚総支配人はどう考えていたのか。

 リゾート関係者 悪い人ではないが、実質的な指揮を取っていたのは米澤総支配人ではなくS部長だった。夕張リゾートを1度辞めた後に戻ってきた、米澤氏と同じ〈出戻り組〉だった。昨年春ごろにS部長は戻ってきて“Sグループ”をつくって、金の動きを含めて夕張リゾートを動かしていた。

 ――香港系ファンドのオーナーの意向はどうだったのか。

 リゾート関係者 「オーナーとの連絡がつかない」というのが幹部クラスの口癖で、オーナーとの連絡を取るときに間に入った通訳も昨年夏ごろに辞めてしまった。それで弁護士を間に入れて資金提供を依頼して1回か2回は入れたが、「お金も出すつもりはない」と言ってきたようだ。

 ――夕張市も北海道庁も昨年夏には夕張リゾートの経営悪化に気が付いて、スキー場休業回避に向けて動き始めるべきだったのでは。

 リゾート関係者 そうだと思います。破産寸前である予兆は出ていたし、秋口にはスキー場オープンは困難との予測は容易にできた。今シーズンオープンに向けた整備をするお金もなかったし、ブルドーザーなどの重機も動いていなかった。それなのに夕張市も道庁も何も手を打たなかった。情報収集不足、職務怠慢などと行政の責任も追及されて当然です。

夕張リゾートのホテルマウントレースイ

 もちろん、夕張リゾートの米澤総支配人やS部長ら幹部たちも許されない。つらい思いをして辞めていった従業員や代金を回収できない納入業者ら被害者はたくさんいるのだ。計画倒産の実態が明らかになっていけば、関係者や地元住民の怒りが爆発するような状況になる可能性は十分にある。

 やっている感演出で事足りることや初動遅れ(後手対応)は、さすがに“菅チルドレン”の鈴木知事だけあって菅首相と瓜2つ。賭博場開設で第二の故郷・横浜をカジノ業者に売り渡そうとするに等しい菅首相と、第二の故郷・夕張を中国系企業に売却(転売益10億円を献上)した鈴木知事は、ぴったりと重なり合うではないか。鈴木知事が今後「売国奴」と後ろ指を指されないために、夕張の宝ともいうべきリゾート再開に向けてどう動くのか注目される。

【ジャーナリスト/横田 一】

(前)

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