2024年11月23日( 土 )

菅自公 総選挙で さようなら

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「野党は解散総選挙の覚悟をもって内閣不信任決議案を上程し、菅自公を叩きのめして、清新な新政権を樹立するべきだ」と訴えた6月10日付の記事を紹介する。

「議会制民主主義」は日本の政治体制を表現するのに適切でなくなっている。
「選挙制独裁主義」に表現を変更すべきだ。

議会制民主主義においては議会における討論と説得が重要。
民主的な議会政治は「討論と説得の政治」であるともいわれる。
少数意見にも耳を傾け、違憲の相違があれば、納得を得られるように説得を重ねる。

しかし、菅義偉氏は議会で討論する姿勢を示さない。
提示された質問に対して答えない。
質問に答えずに、どうでもいい話を延々と展開する。

政府の提案は討論のない多数決で決定される。
数の力で押し切るだけ。
このような議会なら存在価値がない。

選挙で多数を得たら、あとは好きなようにやる。
「選挙制独裁主義」である。

日本の国民にとって最重要のテーマはコロナ感染症。
感染収束が実現していない。
国民の生命と健康を害する重大な感染症がまん延している。
この収束が最重要課題。

五輪は単なるスポーツ興行。
かつてのアマチュアリズムは現在の五輪にはない。
営利目的の興行に過ぎない。
国民の生命や健康を危険に直面させてまで実施すべきものでない。

主催者がIOCであっても、開催する場所が日本であるなら、開催についての最終権限は日本政府にある。
領土主権にかかわること。
菅首相が、「主催者がIOCであるから、開催可否について口を差し挟めない」と述べるなら、直ちに罷免する必要がある。

日本領土で実施される行事の開催可否を判断する権限は日本政府だけが有する。
国家主権を放棄する首相を放置してはならない。

五輪開催はコロナ感染症の感染拡大をもたらす。
そのことによって、日本国民の命が奪われる。
多くの人が重大な疾病に罹患する。
このような犠牲を払ってまで五輪を実施する正当な根拠がない。

そもそも、日本で五輪を開催する必要もなかった。
五輪は五輪で利益を得ようとする者による営利活動。

「福島の復興」という看板が掲げられたが、その福島は切り棄てられた。
福島の人々は放射能汚染地帯に居住することを強制されている。
放射能汚染地帯から避難した人々に対する補償は打ち切られた。

その一方で巨大な血税が五輪に注がれる。
巨大資金に多くのハイエナが群がり、濡れ手に粟の不労所得を得ている。
IOCが五輪開催を強行しようとするのは、五輪放映権料を獲得するため。

五輪興行の施設整備、各種費用は開催国に負担させる。
五輪開催で巨大な不労所得を獲得し、五輪組織委員会にVIP待遇での饗応接遇を強要する。
文字通りの東京汚リンピック。

その五輪を中止する正当な根拠が浮上した。
5万人を超える五輪関係者が来日すれば、世界中のコロナ変異株が日本に集結する。
9月から10月にかけて感染第5波が日本を襲う可能性もある。
五輪開催が人々を死に追いやるなら「殺人」だ。
五輪を強行する者に対して一斉に刑事告発が行われることになるだろう。

「国民に多大の犠牲を強要してまで五輪を開催する意義は何か」
「『国民の命を最優先し、このことが確保できなければ五輪を開催しない方針』だというが、具体的にどのような基準で、その判断を行うのか」
当然の質問だ。

国権の最高機関である国会で、行政の長である内閣総理大臣が質問を受ける。
ところが、菅義偉氏は何も答えない。
何も答えずに思い出話を延々と述べる。

言語道断。
傍若無人
心神耗弱
である。

内閣総理大臣の職責を担うことが不能であることが歴然としている。
直ちに、菅義偉氏を首相の座から引きずり下ろすことが妥当といえる。
菅義偉氏の姿勢は議会を冒涜するもの。
菅首相罷免に正当性がある。

菅義偉氏の姿勢を踏まえて野党が内閣不信任決議案を上程する見通し。
自民党の二階俊博幹事長は、6月7日、野党が内閣不信任決議案を上程した場合の対応について、
「覚悟をもって不信任案を出される場合は、どうぞ1つ、そういうお気持ちで対応していただきたいという意志を伝えたほうが良いです。
直ちに解散します」
と述べた。

解散は首相の専権事項といわれるが、二階氏は首相の専権事項を決定する権限を有しているらしい。

野党第一党の立憲民主党代表枝野幸男氏は、コロナで解散総選挙を行うべき状況にないため、内閣不信任案を提出しないとしてきたが、党首討論での菅首相の対応を踏まえて姿勢を転換した。
内閣不信任決議案を上程する方向で野党協議を開始した。

議会制民主主義を冒涜し、議会制民主主義を破壊する菅義偉氏の横暴に対して内閣不信任決議案を提出することは当然の対応。
二階氏は自身の発言に責任をもつべきだ。

憲法第7条が定める衆議院解散は内閣総理大臣の専権事項を定めたものでない。
天皇の国事行為として列挙される行為の1つに衆議院解散が挙げられているだけ。
天皇の国事行為には「内閣の助言と承認」が必要で、このことから、内閣が解散権を有しているとの独善的な解釈が横行してきた。

衆議院議員の任期は4年であり、任期満了まで議員を務めるのが適正だ。
これと別に憲法第69条に衆議院解散についての定めがある。

第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、または信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

衆議院で内閣不信任案が可決されたときに、解散が行われ得る。
内閣は衆議院解散か内閣総辞職のいずれかを選択しなければならない。
内閣不信任案が上程されても、衆議院がこれを否決した場合には、衆議院を解散する必要はない。

従って、野党が内閣不信任決議案を上程した場合に、
「直ちに解散します」
と党の幹事長が断言すること自体が異様。

二階幹事長は内閣の判断を決定する権限を有しているのか。
仮に、内閣不信任案が上程されて、衆議院が解散されないときは、二階幹事長の求心力が一気に低下する。
不毛な言葉遊びはやめた方がいい。
内閣不信任案が上程され、衆議院解散が行われない場合は、菅自公の弱体化が鮮明になる。
大敗を恐れて勝負できないということになる。

野党の側は常在戦場の気持ちで緊張感をもって内閣不信任決議案を上程するべきだ。
解散総選挙の覚悟をもって菅内閣に不信任を突き付ける必要がある。
国民が賢明なら、菅自公を完膚なきまでに叩きのめすだろう。

菅自公を叩きのめして、清新な新政権を樹立する。
それが日本の未来を切り拓く第一歩になる。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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