2024年12月23日( 月 )

コロナ忌明けの夏、日本株の時が来た(後)

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 NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
 今回は2022年6月6日の「コロナ忌明けの夏、日本株の時が来た」を紹介。

中国は失速回避の弥縫策を打ち出す

 中国経済失速が最大の懸念材料、だが党大会前に習政権は弥縫策を繰り出すだろう。コロナ再燃によるロックダウン、不動産バブル溶解による内需の落ち込み、輸出輸入の伸び率急低下などが顕在化し経済は失速状態、コロナ禍の勝ち組であったはずの中国が今や負け組になっている。また中国依存のグローバルサプライチェーン再構築が始まる。中国から相当な規模の資金流出が起きている模様(2021年1年間で6,000億ドルの対外純資産消失が起きている)。しかし金融緩和で手当て、公共投資も復活するので一気の下落加速とはならないだろう。

日本が世界投資のブライトスポットに

夜明け イメージ    となると、日本株にチャンスが回ってくる。武者リサーチの「日経平均は4万円になる」の実現可能性が高まっている。依然として潤沢な投資資金、投資対象難のなかで日本の有利なポジションが浮かび上がる。円安で日本の国際分業上の立場は著しく有利になっている。Jカーブ効果により当初のマイナスの時期を終えこれから収穫期に入っていく。つまり円安の当初は輸入単価が上昇して貿易赤字が増え、その時点では円安はマイナスに見えるが、やがて円安は大きな数量変化をもたらす。国内市場では割高な輸入品から割安な国産品へ、海外市場では割安な日本製品が外国製品を駆逐してシェアを高め、日本での生産と雇用、投資の活発化に結びつく。海外生産している企業にとっても、海外工場の利益が円安で大きく膨らみ、技術指導料や配当などのサービスや金融所得増加というかたちで日本の親会社に利益がもたらされる。ここ10年大きく増加したグローバルM&A実施企業にとって円高時の投資の成果が一気に開花する。一定の雌伏期を経て円安は国内経済活動を大きく活発化させることは必至である。

 岸田政権の「新しい資本主義」が反市場的性格をもつと懸念されたが、それは杞憂であったようだ。所得倍増のスローガンは資産所得倍増へと市場よりの政策にシフトしたが、これは歓迎されることである。(1)コロナ後のペントアップ需要、たまった貯蓄がこの夏以降解放されること、(2)米中対立と円安で日本にハイテク産業が戻ってくること、(3)世界で最人気の観光地日本が円安で大きく活性化すること、(4)日本にも一周遅れの住宅ブームが起きていること、(5)企業業績は過去最高、株価のバリュエーションは過去最低水準にあり、内外投資家は日本株を持たざるリスクを意識せざるを得ないこと、等の支援材料が目白押しである。今は日本株式投資の好タイミングと考えたい。

(了)

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