紙対応の細田議長が弔辞の県民葬も称賛一色
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「統一教会国会」(10月27日号の週刊新潮)とも呼ばれる臨時国会で本格論戦が始まる直前の10月15日、安倍晋三元首相の県民葬が山口県下関市で行われた。自民党安倍派の細田博之衆院議長や萩生田光一政調会長ら約80名を含む二千人(主催者発表)が参列するなか、弔辞を述べたのは、旧統一教会関連集会での挨拶や教団票差配やなどが明らかになった細田氏。泉健太代表が10月5日の代表質問で議長席を振り返りつつ問い質しても無言のままで、二回の文書提出で事足りた。「紙対応」と報じられたのはこのためだが、県民葬では一転して雄弁となり、安倍氏をこう褒め称えたのだ。
「君は終始、経済の成長および行財政と教育改革ならびに災害からの復興に心魂を傾け、また世界の繁栄と平和に力を生かし、国民生活の充実と我が国の国際的地位の向上に貢献されました。その功績はまことに偉大であります」
遺骨を抱えて入場した昭恵夫人も銃撃事件後に初めて挨拶。「先日は国葬を挙行していただき、だんだんと実感が湧いてきて、本当に亡くなったのだと寂しさが増している」「今回遺骨で帰ってきたのは残念でならない」と述べながら、「日本のために大きな仕事をさせていただいた、豊かな67年の人生だったと思っています」と締め括ったのだ。
銃撃事件の原因となった旧統一教会との関係にまったく触れずに称賛一色となった県民葬は、功績を並べ立てた約8分間の映像(政府制作)を流した国葬と瓜2つ。同時刻に県内各地で抗議集会が開かれたという共通点もあった。県民葬会場となった「海峡メッセ下関」から約一キロ離れた下関市役所前でも、「憲法違反の県民葬はやめようや」「県民の税金を六三〇〇万円も使わないで!!」「赤木俊夫さんの魂を忘れない!」といったプラカードをもった市民が集まり、「内心の自由の侵害」とアピールしていたのだ。
国葬も県民葬も民意が真っ二つに割れるなかで強行されたのだが、分断の最大の原因はアベ政治のマイナス面を切り捨てて都合が良い部分だけを称賛、特定の偏った価値観を押し付けようとしているためだ。
9月27日の国民葬反対集会で志位和夫委員長(共産)は安倍政権を「戦後最悪」と強調したうえで、「統一教会と首までズブズブの関係をつくって、最大の広告塔になったのは誰ですか。(「安倍だ!」の声)。そんな政治を礼賛し、国民に押し付ける。こんなことは断固、お断りしようではありませんか!」と訴えた。
自民党衆院議員の村上誠一郎元行政改革担当大臣も「旧統一教会に選挙まで手伝わせた」ことなどを理由に安倍元首相を「国賊」と断罪した。党内から批判噴出した後に撤回したものの、長年にわたって自民党は旧統一教会からの選挙支援(信者の無償労働提供)を受ける一方、霊感商法や高額献金を野放しにし、日本人の国富が韓国の“アベ友教団”に流出する片棒を担いできた。このズブズブの貸し借り関係の元締め的存在が教団票を差配してきた安倍氏であり、「国賊」「売国奴」と評されてもまったく違和感を抱かないのだ。
しかし岸田政権(首相)は、旧統一教会と安倍元首相の関係についての調査を拒み続けている。10月19日の参院予算委員会で辻元清美参院議員に調査を求められても、「最後は心の問題。本人が亡くなられている。反論も抗弁もできない。十分に調査することは難しい」と拒否したのだ。
安倍元首相の徹底調査もせずに、過去の国益毀損行為(高額献金による韓国教団への国富流出)を水に流し、血税投入の葬儀で追悼することに反対の声が挙がるのは至極自然な国民感情に違いないのだ。安倍元首相の銃撃事件は“アベ友優遇政治”の産物ともいえるが、その死を悼むのならば、まずは安倍元首相らの徹底調査・解散命令請求・被害者救済法案など新規立法によって、高額献金の根絶(韓国教団への国富流出阻止)をすることが不可欠なのだ。
【ジャーナリスト 横田 一】
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