2024年07月16日( 火 )

旧統一教会被害者救済の新法案をめぐり与野党攻防激化(前)

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 旧統一教会への高額献金を規制する被害者救済新法の今国会成立をめぐって与野党の攻防が激しさを増す中、与野党(四党)協議の立民実務者・長妻昭政調会長の見立てが的中した。

 11日からの外遊前に新規立法への決意表明をするのか否かがポイントと11月4日の国政報告会で発言していたが、その4日後の8日(外遊出発3日前)に岸田首相は公明党の山口那津男代表と会談した後、新法の今国会提出を目指す考えを明らかにしたのだ。長妻氏は国政報告会で「世論が重要」と強調しつつ、来週が山場になると次のように予告していたのだ。

 「今日(4日)、1つ良かったのはうちの早稲田夕季衆院議員が岸田首相に質問をしたら『(旧・統一教会の被害者と)来週会います』と答えたこと。期待をもっているのは、来週会った後の会で『いろいろ党内にも公明党にも意見はあるが、やはり被害者救済法案、(高額献金)防止法案、本丸の新法を今国会中にやる。それを党内に厳しく言いました』と。こういうことをいうために来週被害者と会うと明言したのではないかと思っている。これが空ぶったらもう、『やはり岸田さんダメだよね』と言わざるを得なくなってしまうと思う。ぜひ来週、被害者の方と会った後の岸田首相の発言を注目、ここがもうモゴモゴとなったら期待薄と思うが、私はあきらめずに食らいついて行って臨時国会で成立させるように頑張っていきます。本当に世論が重要だと思うのでよろしくお願いします」。

 リモート国政報告会(報道関係者も視聴可能)で長妻氏が被害者面会後の岸田首相発言への注目を呼びかけた4日後の11月10日、事態は動いた。岸田首相は山口代表との会談後の記者会見で、被害者と面会して凄惨な経験を聞いたことを明らかにしたうえで、被害者救済新法について次のように述べた。「政府としては今国会を視野にできる限り早く法案を国会に提出すべく、最大限の努力をすることにします」。

ヒアリングで発言する長妻氏
ヒアリングで発言する長妻氏

    一方、長妻氏は同日の同じ時間帯に国対ヒアリング(旧・野党合同ヒアリング)に出席。旧統一教会の被害者・中野容子さん(仮名)から話を聞いていた。「1億円献金、86歳『念書』 旧統一教会『自由意思』 半年後、認知症の診断」と銘打った11月3日の『毎日新聞』の記事で紹介された中野さんは、母親が約1億5,000万円の献金をしたことを知って提訴、今も裁判中である体験を述べたのだが、それに先立って長妻氏は新規立法の必要性についてこう訴えた。

 「いわゆるマインドコントロールと呼んでいるが、継続的行為によって一定の状況に置かれた場合を認定して、お金を取り戻しやすくすることをしなければ、解決に結びつかないのではないか。自公の方も『許容しがたい悪質な勧誘(いわゆるマインドコントロール下に置けるものも含む)などを定義づけたうえで禁止すること』と明言した。これは共通認識でありまして、だからこそ、『新法の条文を出してほしい』と自公に求めた」「『新法を自公、政府が出すことで被害者が救われるのだ』となかなか私も思えない。自公が自ら出してきた論点をクリアする、本当に実効性のあるものなのか否か。条文がないとどうしようもない」。

(つづく)

【ジャーナリスト/横田 一】

(後)

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