「今だけ金だけ自分だけ」の対極にある真の政治家
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政治経済学者の植草一秀氏が7月21日、自身のブログとメールマガジンの記事で、「もっとも衝撃的なスピーチ」としてネットの世界に拡散されているスピーチを紹介している。「石器時代になれと言っているのではなく、人間社会を守るための寛大な精神を学んでほしいのです」と述べたスピーチを通して、植草氏は「すべての人の幸福のための政治、平和と共生を目指す政治、友愛の政治、の実現を」と熱く語っている。NETIBでは、同記事の一部を抜粋して紹介する。
ホセ・ムヒカという人物がいる。知っている人はそれほど多くないだろう。
1935年生まれの80歳の男性。ウルグアイの首都モンテビデオの貧困家庭に生まれた。4度逮捕され、2度脱獄したが、1972年に最後に逮捕されたときには、軍事政権が終焉するまで13年近く収監された。このホセ・ムヒカ氏が2010年3月から2015年2月まで、ウルグアイの第40代大統領を務めた。
個人資産は、フォルクスワーゲン・タイプ1のみ。大統領公邸には住まずに、首都郊外の質素な住居に暮している。給与の大部分を財団に寄付し、月1,000ドル強で生活しており、「世界で最も貧しい大統領」として知られてきた。
ホセ・ムヒカ大統領が2012年6月20日から22日に開かれた国連「持続可能な開発会議(Rio+20)」で、ノーネクタイにジャケットというラフなスタイルで演説を行った。
これが「もっとも衝撃的なスピーチ」として世界に拡散されている。
打村明氏がウェブサイトに翻訳を公開くださっているので、その一部を紹介させていただく。「午後からずっと話されていたことは持続可能な発展と世界の貧困をなくすことでした。私たちの本音は何なのでしょうか?現在の裕福な国々の発展と消費モデルを真似することでしょうか?質問をさせてください。ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか。息するための酸素がどれくらい残るのでしょうか。同じ質問を別の言い方ですると、西洋の富裕社会が持つ同じ傲慢な消費を世界の70億~80億人の人ができるほどの原料がこの地球にあるのでしょうか?可能ですか?それとも別の議論をしなければならないのでしょうか?」
「マーケットエコノミーの子供、資本主義の子供たち、即ち私たちが間違いなくこの無限の消費と発展を求める社会を作って来たのです。マーケット経済がマーケット社会を造り、このグローバリゼーションが世界のあちこちまで原料を探し求める社会にしたのではないでしょうか」
「現代に至っては、人類が作ったこの大きな勢力をコントロールしきれていません。逆に、人類がこの消費社会にコントロールされているのです。私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません」
「石器時代に戻れとは言っていません。マーケットをまたコントロールしなければならないと言っているのです。私の謙虚な考え方では、これは政治問題です。昔の賢明な方々、エピクロス、セネカやアイマラ民族までこんなことを言っています。『貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ』。これはこの議論にとって文化的なキーポイントだと思います」
「根本的な問題は私たちが実行した社会モデルなのです。そして、改めて見直さなければならないのは私たちの生活スタイルだということ」
「発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。これらをもたらすべきなのです」
※続きは、メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1197号「人間の幸福破壊するグローバル強欲巨大資本」で。
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