2024年11月24日( 日 )

株価急落、安倍政権取り巻く情勢急変

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 NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、日経平均株価急落を受けて、「金融市場の環境変化で、安倍政権を取り巻く情勢が急変する」と述べた8月25日付の記事を紹介する。


 日経平均株価が急落している。

 6月24日終値で日経平均株価は2万868円の高値を記録した。2000年4月12日の2万833円を超えて、約19年ぶりの高値を記録した。そして、8月10日終値は2万808円だった。
 それから2週間しか時間は経過していない。
 本日、8月25日の日経平均株価終値は1万7,806円。2週間で3,000円急落した。下落率は14.4%。6月24日高値を基準とすると、下落幅は3,062円、下落率は14.7%である。
 きっかけは8月11日の中国人民銀行による人民元切下げである。中国政策当局が人民元を切り下げた。これを契機に、世界の株式市場が揺れ動いている。人民銀行は3日連続で人民元切下げを実施したが、そこで小休止した。金融市場は一時的に落ち着きを取り戻したが、8月17日の週に入って、再び動揺が広がった。中国株価が急落し始めたのである。
 これがグローバル金融市場に連鎖反応を生んでいる。

 安倍晋三政権を支えてきた、唯一の支えが株価上昇だったが、この支えがいま、外されようとしている。
 『金利・為替・株価特報』8月17日号を発送したのが8月12日。8月11日の人民元切下げを踏まえて、「8月11日、中国が人民元を米ドルに対して2%引き下げる措置を決定、実施して様相がガラリと変わった。目先は中国人民元切り下げ問題の影響を考察する必要が生じ、金融市場はリスクオフ姿勢を強める可能性が高い。」「各国による通貨切下げ競争が加速するとの思惑が広がれば、為替市場に、投機的な資本移動が大規模に発生するリスクが高まる。通貨が下落する余地のある国が投機のターゲットとされて、大規模な資本逃避=株価急落の連鎖が生まれる危険がある。グローバルな金融市場の連鎖に当面は最大の警戒を払う必要がある。」と執筆した。
 今後の展望については、『金利・為替・株価特報』8月31日号に詳述する。

 中国の人民元切下げを批判する見解が一部で示されているが、この批判は妥当ではない。
 2008-09年の国際金融市場の危機=サブプライム金融危機に際して、金融超緩和=自国通貨切下げに突き進んだのは米国である。その裏側で日本円の急騰が進んだ。2012年からは日本が金融超緩和=自国通貨切下げに突き進んだ。米ドル、日本円の下落は、裏を返せば、ユーロの上昇であり、人民元の上昇である。
 2015年に入って、米日欧の最終ランナーとして、ユーロ圏が金融超緩和=自国通貨切下げに進んだ。今回の人民元切下げは、グローバル金融市場における通貨切下げ競争の最終ランナーとして中国が登場したことを意味する。

 金融情勢の分析は『金利・為替・株価特報』に譲ることとして、金融市場の環境変化で、安倍政権を取り巻く情勢が急変する点を見落とせない。

 安倍晋三政権は9月中旬にも、戦争法案の参院強行採決を目論んでいると思われる。日本の主権者の圧倒的多数が、戦争法案に反対している。そして、圧倒的多数の憲法学者が、戦争法案が憲法違反であると指摘している。法治国家、立憲国家、民主主義を基本とするなら、安倍政権は戦争法案を取り下げるべきである。
 これ以上の暴走を続けるなら、日本の主権者がいよいよ立ち上がり、体を張って、安倍政権を打倒する必要がある。日本を暴政によって滅亡させてはならないのである。

 株価は上昇したが、圧倒的多数の主権者の生活はまったく好転していない。主権者が連帯して安倍政権を一気に退場させるべき時機(とき)が到来している。

※続きは、メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1228号「日本経済を破壊する弱肉強食推進安倍政権」で。


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