2024年12月22日( 日 )

日中ビジネス交渉人徐静波の日本企業へのメッセージ~今年の中国「両会」、最大の成果は

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日中関係 イメージ    3月に、世界で注目される中国の「両会」(全国人民代表大会と人民政治協商会議)の取材で北京を訪れた。コロナ禍を経て3年ぶりとなる現地での取材となった。

 中国政府はすでに新型コロナウイルスを「流行性インフルエンザ」に格下げしたが、人民大会堂に入る代表や委員、記者に対して厳しい感染対策を講じたことから、今年は会場での取材者の数が以前よりずっと少なかった。

 今年の「両会」は、習近平氏が最高指導者となってからの10年間で最大の人事刷新となった。2013年当時の人事が指導者何代かの「力的バランス」の産物であったとするなら、今回の人事はすべて習近平主席が最も信頼し最も適切とみたメンバーヘの入れ替えであり、正真正銘の「習近平内閣」となる。

 習氏が浙江省委書記であったときに秘書長だった李強氏が、李克強氏の後任として総理に就任した。李強氏は今年63歳で、浙江省省長、江蘇省委書記、上海市委書記を務めるなど地方での経験が極めて豊富で、働き盛りであり、2期(10年間)にわたる総理となって問題はなかろう。

 習氏の元部下である蔡奇氏(66)が党の事務を統括し、事実上の「内閣官房長官」となった。一方、全人代常務委員会(衆議院に相当)の委員長は、中央紀律検査委員会の書記だった趙楽際氏(66)が、全国政治協商会議(参議院に相当)の主席は中央書記処の書記だった王扈寧氏(67)が就任する。2人とも過去5年ないし10年間、習近平政権を支えた中心的人物である。

 その習氏は、満票で3期目となる国家主席に選ばれた。この結果、中国の権力基盤が毛沢東以来となる絶対的な安定状態となり、今年しばらくは「権力闘争」などと言った事態にはならず、習氏の国政運営は速やかに完璧に執り行われるだろう。

 これがそう、今年の「両会」における最大の成果である。

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 今回はまたアフターコロナともいえる大会で、全国の民間企業トップが、今後への期待感や経済再建への処方薬が示されることを望んでいた。しかし、李克強総理の最後の政府活動報告でも李強新総理の記者会見でも、中国経済を立て直すための策が発表されなかった。この点はかなりの失望感をもたらしてしまった。

 3年間におよぶコロナ禍や、米中間の対立、ウクライナ問題などを受けて中国経済は冷え込み、輸出も影響を受けた。2022年のGDP成長率は改革開放から40年以上で最低となる3%だった。回復するか否かは中国自身の発展に関わるほか、世界経済の回復にも関わる。そして中国のGDPがアメリカを超えて世界一の経済大国となる時期も左右される。

 従って、「両会」を終えた今、経済振興策を早期に打ち出すことが政府における最重要課題となり、国内外でも注目されている。李強総理の手腕や能力が問われる。


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