情報番組を監視する官邸
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、日本では重大な問題がマスメディアできちんと取り上げられず、公共の電波が政治利用されていると批判した5月28日付の記事を紹介する。
立憲民主党の小西洋之参議院議員が通常国会で政府の放送行政について厳しく追及した。小西議員が入手した文書について高市早苗国務相は「ねつ造文書」と断定した。「ねつ造文書」でなければ議員辞職すると明言した。しかし、当該文書は総務省の行政文書であることが明らかにされた。
その当該文書が作成されたのは高市早苗氏の総務相在任期間。行政文書に最終的な責任を負うのは総務相である。総務省において作成された行政文書がねつ造文書であるなら高市早苗氏は総務省最高責任者として責任を負うことになる。
当該文書がねつ造文書でないなら高市氏は議員辞職しなければならなくなる。高市氏は当該文書が行政文書であることが明らかにされた後も、文書に誤りがあるとして議員辞職を拒絶した。しかし、当該文書がねつ造文書であると主張しながら総務省の最高責任者としての責任を明らかにしなかった。
予算が成立したために高市氏を追及する機会が減少し、他方で、小西氏が衆議院の憲法審査会の対応を「サル」に喩えて批判したことをメディアが大々的に取り上げて、民間放送への行政からの介入問題があいまいなまま幕引きされた。
小西議員の発言よりも重大な議員の問題は無数に存在する。維新の梅村みずほ議員によるウィシュマ・サンダマリさんへの侮辱発言のほうがはるかに重大な問題。未成年女性に対するパパ活疑惑を追及された自民党の吉川赳衆院議員の問題の方がはるかに重大だろう。
要するに、この国では公共の電波が政治利用されている。政治権力、行政権力はマスメディアを政治利用することによって国民を統制している。メディアコントロールが日本民主主義を歪める元凶の1つになっている。岸田首相は内閣支持率が回復した局面での解散総選挙断行を視野に入れているだろう。
広島サミットを終えた現時点が岸田内閣のピークである。岸田首相に現実を冷静に見抜く洞察力があるなら、このことを熟知していると思われる。回復した支持率をさらに大幅に引き上げて、その段階で解散総選挙に挑むと、もし岸田首相が考えているなら、歴代劣悪首相と同列ということになる。
麻生太郎氏も菅義偉氏も実績を挙げて支持率を上昇させ、そのうえで解散総選挙に挑もうとした。しかし、現実には支持率は下落の一途をたどった。麻生太郎氏は任期満了選挙に追い込まれて大敗。自民党野党転落を主導した。
菅義偉氏は自民党総裁選への出馬断念に追い込まれた。菅氏が退陣に追い込まれて首相の座を射止めたのが岸田文雄氏である。
※続きは5月28日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「情報番組を監視する官邸」で。
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