30周年を迎え、また超えて(3)原点~新時代の「波動組」
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団塊の世代、3年連続で260万人超出生
筆者は1947年生まれ。この年から3年間(49年まで)、出生者数が260万人を超えた。1945年8月に日本は敗戦=全面降伏し、「アメリカの属国」として再スタートを切った。国民は平和の到来に歓喜し、家族をつくることに専念した。その結果、この時期に生まれた子どもたちは「団塊の世代」と呼ばれるようになった。この世代が新時代を牽引するわけであるが、戦後79年が経ち、大半が80歳手前となり「老人化」している。
ここで重要なことを知っていただきたい。男女を問わず、筆者の同級生で末っ子は、最低5人以上兄妹がいる。戦前の家族形態を継承しているのである。ところが長男・長女の場合、兄妹が2人、多くて3人なのだ。復員してきた若者たちが家族をつくるのに専念したはずなのだが、子づくりにはバランス感覚が働く。この2通りの親世代の価値観には大きな開きがあった。
時代の変化の牽引者「団塊の世代」
社会の風潮、音楽の流行など、あらゆる分野における価値観を変えた牽引者が「団塊の世代」であった。この世代は、日本1国だけでなく、国際的に連動して価値の変革がなされてきた。それを体現した一例が「国際的な人気を誇ったビートルズとベトナム戦争=反戦運動」であった。ベトナム戦争ではアメリカが“木っ端微塵”にされた。ベトナム戦争=反戦運動は単純な「戦争反対運動」ではなく、社会全体につながる変革運動であったのだ。
多少脱線するが、「団塊の世代は過当な競争を余儀なくされて厳しい人生だった」と捉える識者がいるが、これは大間違い。日本国自体が一から再建する過程で、豊かなる復興を達成した。その恩恵を十分に浴びることができたのが、この「団塊の世代」なのである。
「団塊の世代」は、老人になっても結構、良い暮らしを享受している。この世代はたしかに一時的には社会の変革の担い手であったが、途中下車してしまった。中途半端な役割しか担えなかった世代である。表現を換えれば「日本民族の良き習性」を堅持した世代ともいえる。
ベトナム反戦運動は世界変革に通じた
ベトナム反戦運動が世界中に「変革のインパクト」を与えたのは、民族解放に挑むベトナム人の英雄的な闘争力によるものであった。世界に君臨してきた「アメリカ帝国」の軍隊を翻弄し、ベトナムから駆逐したことが、世界の若者たちを奮い立たせたのである。これは決して政治領域という狭い枠内だけでの変革ではない。政治・国家・社会・文化・家族の在り方まで、すべてにおいて変革・従来の価値観を根本から変えるきっかけとなった。要するに「ファッション化」したのだ。
「べ平連」に関心をもつ
10代から22歳までは宮崎県日向市、鹿児島市で過ごした。ベトナム戦争の動向には非常に関心をもち、アメリカ軍の侵略行為には怒りを覚え、「まずは行動が先決」と焦燥感に駆られていた。その過程で「ベトナムに平和を!市民連合(通称:べ平連)」という団体の存在を知った。代表は小田実氏である。
著書『何でも見てやろう』が100万部を突破するなど小田氏は人気作家であった。アメリカへ留学して卒業後、世界中を歩きまわった体験を本にしたのである。政治色がついていない知識人・市民の小田氏が立ち上げた市民運動に接したい気持ちが燃え上がってきた。
早速、東京へ飛んだ。67年7月のことである。「べ平連」の組織は、代表が小田氏であり、後はすべてフラット。吉川勇一氏に事務局長という肩書があるだけである。会議は毎週火曜日の夕方に行われていた。参加自由、発言自由の方式に驚き、新鮮味を覚えた。そこで思いつくまま発言をさせてもらった。その後、この「べ平連」の呼びかけで、ベトナム侵略戦争への抗議行動が大規模に展開されていった。
九州にて最初に「べ平連」を結成したのが誇り
鹿児島へ帰り、67年10月に鹿児島で「べ平連」を立ち上げ、天文館での定期的なカンパ活動や街頭集会を重ねていった。小田実講演会には、かなりの聴衆が集まった(400名)。もう1名、ベトナム戦争従軍カメラマン岡村昭彦氏の講演会も開催した。そして翌68年1月に佐世保にてエンタープライズ入港阻止闘争が行われた。この戦いを起点にして「福岡べ平連」が立ち上げられた。九州で「一番役」は筆者の誇りである。警固公園でベトナム反戦の集会があれば鹿児島から馳せ参じた。この公園には300~500人が結集していた。当時は「戦う市民層」の魂が存在しており、頼もしい勢力であった。
この運動の過程で身につけたこと。それは必ず闘争の総括を提示しなければならないことだ。当時はガリ版刷りで作成した。字数は4万字におよぶこともあった。この鍛錬が現在の書き屋としての基礎を固めてくれたと感謝している。
(つづく)
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