2023年5月16日 16:00
スピノザの名を初めて知ったのは大学生の時だ。ある授業で末木という先生が熱心にスピノザの話をしていた。授業が終わって隣に座っていた女子に「スピノザどう思う?」と聞くと、「まるで原始人」とポツリと言った。
2023年5月15日 16:40
デカルトといえば17世紀の人、近代哲学の祖とされる。有名な彼の言葉「我思う、ゆえに我あり」は、人間は考えないうちは自分が存在しているかはっきりわからないから、考えなければ自分が存在しているとはいえないという意味に解釈できる。
2023年5月12日 14:00
学生のころ、中村元の『インド人の思惟方法』を読んだことがある。その本のなかで今でも忘れられないのは、「インド人にとって実在するのは観念であって、現象ではない」という言葉だ。
2023年5月11日 14:00
かつての日本では、アランという人のエッセーが読まれていた。体系的な本は書かず、簡潔にして味わい深い文章を書く市民哲学者ということになっていた。
2023年5月10日 14:30
ピタゴラスの定理というのを学校で習った。直角三角形がどうのこうのという定理である。よくもそんなことを考えたものと思うのだが、古代ギリシャには円周率πを計算した人もいる。
2023年5月9日 16:30
古代ギリシャのホメロスの語った冒険物語は現代にまで受け継がれている。そのうちの1つ「オディッセー」は西洋文学の原点ともいわれる。
2023年5月8日 14:10
西洋哲学の父といえばソクラテスと思う人も多いだろう。いや、プラトンから西洋哲学が始まるのだという人もいる。しかし、後々まで西洋人の常識として居すわったのはパルメニデスである。
2023年5月4日 06:00
カズオ・イシグロといえば長崎生まれのノーベル賞作家。5歳のときに両親とともにイギリスに渡り、そのまま彼の地にとどまって国籍もイギリスとなった。だから、日本人とはいえない。
2023年4月28日 17:00
二刀流は日本のお家芸である。日本文化は何かといえば、二刀流文化すなわちハイブリッド文化である。
2023年4月27日 17:20
幕末から明治維新にかけての激動の時代を乗り切るには体力だけでなく、並外れた知力と根性が要る。そのような資質をすべて備えていたのが、大分は中津出身の福沢諭吉だ。
2023年4月26日 16:30
丹波は京都の奥座敷と呼ばれている。その丹波に生まれたのが、現在にまでその影響力をおよぼすといわれる商人思想家・石田梅岩である。
2023年4月21日 10:55
本居宣長といえば江戸後期の国学者として知られる人物で、その影響力は明治以降にもおよんでいるといわれる。では、彼はどんな考え方をもっていたのか。
2023年4月20日 16:30
江戸時代中期は日本思想史の頂点をなす。無論、当時の知識層の数は全人口からすればわずかで、思想史の頂点といっても、国民の大半はそれに関与していない。
2023年4月19日 16:30
市ヶ谷で割腹自殺を遂げた作家の三島由紀夫は「日本に愛はない」と言った。「愛」は英語のラヴの訳語で、日本では愛のかわりに「恋」があるからだと。
2023年4月18日 16:00
平安時代末期は日本人の心が大きく変わった時代である。それより3世紀前に聖徳太子が広めた仏教が、ようやく日本人の心に浸みこんだのだ。
2023年4月14日 17:15
明治の先覚者・中江兆民には福沢諭吉ほど影響力はなかった。福沢が科学時代の先陣を切ったのに対し、兆民の方は政府にとって厄介な「民権」を掲げたからである。
2023年4月13日 16:40
福岡大学を出て文楽の世界に入り、義太夫語りとして活躍している人物がいる。この世界を知る人なら、「ああ、竹本小住太夫のことね。文楽界のホープです」と言うだろう。
2023年4月12日 16:30
一昔前、よく耳にした言葉に「自分探し」というのがあった。探すというのだから、見失っているという実感があるのにちがいない。
2023年4月11日 17:40
西洋の文化と東洋、とくに東アジアの文化のちがいのひとつは、月並みな言い方だが、前者が「愛」の文化とすれば、後者が「礼」の文化であるというちがいであろう。