2024年5月9日 18:00
ちょうどそのころ、井坂は社長室の一番奥にあるショッピングセンターの完成模型の前に立っていた。敷地面積20万m2、総工費200億円という朱雀屋の歴史で最大規模の施設だった。
2024年5月7日 19:00
「社長、申し訳ないことになりました」 牧下と秘書室長の戸田が社長室を尋ねたのは師走の午後だった。「どうした、2人そろって」「電子メールをご覧いただきたいのですが」
2024年5月6日 06:00
雛壇の役員たちが一様に下を向き、押し黙って会場の怒号を聞くなか、1人太田英輔だけが顔色を変えることなく、平然と会場を見下ろしていた。
2024年5月5日 06:00
赤字決算以来、井坂は社長室のデスクに頬杖をつくことが多くなった。朱雀屋にきたころに比べて白さが混じった髪も、ずいぶん薄くなっている。
2024年5月3日 06:00
無言で石井を見つめる高杉に石井は続けた。 「確かに井坂さんは就任当時無為の責、つまり何にもしないことへの責を厳しく追及すると言った」
2024年5月2日 18:30
暗さに目が慣れたところで石井は壁際の役員席に座っている井坂を見た。井坂は下を向いて居眠りをするように目を閉じている。石井は井坂の心中を思った。
2024年5月1日 18:00
「石井さん、井坂社長もなかなか賢いですね。赤字の原因を不振店のスクラップと有価証券の含み損にもって行くなんて」 決算発表直後の幹部会議の後、石井に話しかけてきたのは商品部の高杉和樹だった。
2024年4月30日 18:00
「業者の間で朱雀屋は大丈夫か、という話が飛び交っているようだね」 定例幹部会の休憩時間を利用して、コーヒーを前に久保英二は石井一博と向かい合った。
2024年4月29日 06:00
「社長、これじゃとてもじゃないが承認できませんね。下手をすると資格はく奪ですよ」 社長室のソファーに深く腰掛けて公認会計士の森田隆二が不快をそのまま顔に出して低い声で言った。
2024年4月27日 06:00
春の統一地方選挙のK市議選の組織内候補者に、朱雀屋労組は東健太郎の推薦をあっさりと決定した。将来の組合幹部候補として専従になって、まだ4年目の27歳の若い候補だった。
2024年4月26日 18:30
「戦争だ。まず井坂さんと組む。旧執行部には致命的な弱みがある。会社に協力させればこっちの勝利は動かない。そうしなければ、会社もよくならない」
2024年4月25日 18:00
「思い切ってやるしかないか・・」 頼りない矢島の態度も手伝って、大川は意を決した。業績の不振、社員の高齢化、一向に上向かない景気。どう考えても今後、会社との交渉は修羅場になる。
2024年4月23日 18:00
会館とは朱雀や労組が組合の収益事業と社員の福利厚生を兼ねて建設した会議場や結婚式場、レストランなどを併設した総合施設だった。組合員だけでなく、一般の顧客も対象にしている。
2024年4月22日 18:00
「組合といえば社長、例の件ですが監査室に調べてもらったのですがほぼ間違いありません。銀行融資も不動産の売買の件も、形としてはすべて投書の通りでした...